車掌を無くしても安全は低下しない?

 動労水戸は8月31日、「中編成ワンマン運転拡大」に伴う車掌合理化反対の団体交渉を行いました。
 今回の交渉では、主要に「ワンマン運転拡大の目的」と「機械に置き換え可能な車掌業務」を追求しました。
 「ワンマン運転拡大の目的」について会社は「鉄道の移動ニーズが縮小し、このままでは会社の維持が困難。機械に置き換え、効率的な業務執行体制を作るため」と回答。そうすることによって生み出された人材を「人ならではの創造的な仕事へシフトしていく」と。具体的には何かと聞くと「JRグループとして作っていく」という漠然とした回答。



 結局は「人ならではの仕事へシフトする」は後付けの理由で、最大の目的は車掌の要員削減であることが明らかとなりました。
 また、車掌をなくすためには、これまで車掌が行なってきた役割や業務を別に置き換えることが必須ですが、とうていすべてを置き換えることは無理であることが明らかになりました。
 例えば、車掌の執務標準(規定)には「列車が停車駅に進入あるいは進出する場合は、ホーム上のお客様の状態に努めて注意する」と定められています。会社は置き換えができないことを認めつつ、「(規定は)車掌が乗務したときのもので、ワンマン運転にはあたらない」と開き直りました。


(何かあったらすぐ止められるかどうか、利用者の安全を守る車掌の重要な役割なのだが.....)

 車掌が乗務していれば、触車やドアはさまり、引きずられなどが起きた時に即座に停止させることができますが、それができなくなってしまうことは明らかに安全性の低下ではないかと追及すると、会社は「列車が動きだしてから止めることはできないが、ワンマン運転に関する省令をクリアしているから安全性が低下するとは認識していない」と回答。本当に鉄道会社の回答なのか耳を疑いました。

 会社はJR東日本グループの行動指針で、「究極の安全の追求」や「質の高いサービスの提供」を唱っています。しかし「ワンマン運転」は一層のコスト削減であり、行動指針とは真逆の行為です。乗務員を減らし、すべてを利用者任せにするものでしかありません。こんな理不尽な施策は絶対に無くして行きましょう。

いったい誰のための意見交換会か

 JR水戸支社では、来年3月の水戸線ワンマン運転導入に向けての動きが出ています。
 8月7日、水戸運輸区のマイプロジェクトメンバー数人が、郡山運輸区に「出張」扱いで、東北本線の黒磯ー新白河で中編成ワンマン運転を進めた「中編成ワンマン運転推進委員会」との意見交換会を行ったことが郡山運輸区で報じられました。
 また、水戸線のワンマン化の対象となる水戸運輸区・勝田運輸区では、8月17日から「中編成ワンマンの導入について」全乗務員対象の説明会が開始されています。
 こうした時期に、すでに導入されている東北本線の中編成ワンマンを担当する郡山運輸区との意見交換会を行う目的は、社員の中からワンマン化の理解を深め、ワンマン化を推進するためでしかありません。


(車掌がいるから通勤時間帯もスムーズに発車できる)

 ワンマン化するということは、車掌の仲間の仕事や職場を奪い、運転士にこれまで以上の労働強化をおしつけるものです。意見交換会に出席したメンバーは自分たちのしていることに自覚はあるのでしょうか?
 郡山運輸区の掲示物を見れば一目瞭然ですが、こうした「取り組み」は会社の意に沿った積極的なものとして「お手柄」となり、勤務評価がプラスとなるのでしょうか。そんなためにやったわけじゃない、と言い訳しても職場の仲間はどう見るでしょうか?
 ワンマンの説明会では「安全にできるという根拠を明らかにしろ」「黒磯ー新白河と水戸線では乗客の数がぜんぜん違う」「車掌がいなくなったら車内秩序はどうなるのか」など、当然にもワンマン運転に反対する意見が数多く出されています。


(車内秩序が維持できているのも車掌がいるから)

 社会の生産は労働者の協働で成り立っています。鉄道の運行も、すべての職種の労働者の協働によって安全に運行されています。そしてこの協働を担うすべての労働者には、それぞれの生活があります。列車の安全な運行は、すべての労働者が安心して働けることが大前提ではないでしょうか?

 もう一度、自分が担ってきた鉄道の仕事や、一緒に働いてきた仲間の存在をとらえ返し、仲間と共に生きていくために、ワンマン運転反対の声を上げていくことを訴えます。


「動労水戸」情報第645号を発行しました。

   今年度末(来年3月)からJR水戸線(小山ー勝田)の全列車をワンマン運転化すると発表した水戸支社。ワンマン運転とは、すなわち「車掌をなくす」ということです。

   車掌さんは、いなくしてもいい存在なのでしょうか?

   この機会に車掌さんたちが日々行っている重要かつ不可欠な役割を再確認すると共に、車掌さんの仕事そのものを切り捨てようとしている、とんでもない「ワンマン運転化」に反対する議論を深めていきましょう。


「動労水戸」情報第644号を発行しました。

   いつの時代も会社が合理化・業務切り捨て・人員削減するためには労組解体がカギとなっています。

   33年前の国鉄分割・民営化の時の教訓に学び、職場の中に合理化を推進するグループを作らせてはなりません。

   職場一丸となって「車掌切り捨て反対」で団結していきましょう。

5両編成のワンマン運転の現地調査を実施

   動労水戸は7月19日、今年3月から東北本線で実施されたワンマン運転の実態を見るために、現地調査を行いました。


(黒磯駅に集合=ワンマンは新白河まで5駅23分の短区間)

   JR東日本は来年3月に、水戸線の全列車と水戸線直通の常磐線・友部–勝田間の一部列車で、5両編成のワンマン運転実施を提案しています。
今回の調査には、同じく来年3月に内房線、外房線、鹿島線でのワンマン運転提案がされている、動労千葉の仲間も参加しました。

   この日調査した列車では、日曜の昼過ぎというのに乗客はほぼありませんでした。
乗客の乗り降りを確認するために、運転席の頭上にモニターが2つ付いています。駅に到着してドアスイッチでドアを開けると、モニターに各車両とホームが映ります。1つのモニターを3分割して映しますが、ホームは最大で5メートルくらいまでしか映りません。車掌の目であれば、ホーム全体や階段から来る乗客も確認していると思いますが、車両に取り付けたカメラではそこまでできません。


(車側モニター=1つを縦に3分割)


(パイロットランプ点灯後もモニター確認?!)

   運転士がドアを閉めると、閉まったことを知らせるパイロットランプが点灯します。運転士はパイロット点灯で列車を発車させます。発車して数メートルくらいまでは、まだモニターにホームが映っています。

   車掌の業務では、駅での停車前、停車中、発車後の各30秒のホームの安全確認を行います。この発車後の確認を、ほんの数メートル映しただけで、車掌の安全確認に代えてしまっています。まして運転士は、列車が動き出せば前方注視義務があり、いつまでもモニターを眺めているわけにはいきません。
車掌が行うように、ホームを抜けるまで安全確認をすることが不可能なのがワンマン運転です。


(日曜の昼下がりでも1人も乗降客なし)

   車内放送は自動放送であり、各駅の到着時間や詳しい乗り換え案内はありません。車掌だからできる仕事が切り捨てられています。この他にも多くの問題があるのがワンマン運転です。

   私たちは、ワンマン運転は人件費削減のために車掌そのものを無くし、乗客の安全、鉄道の安全を破壊するものだととらえています。これまで2両編成で行われているワンマン運転でさえ、乗客と運転士への負担が増えました。
5両編成のワンマン運転を開始することで、JR東日本はほとんどの列車にワンマン運転を拡大しようとしています。私たちは乗客の安全と車掌の仕事を守るために、ワンマン運転に反対していきます。

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プロフィール

HN:
動労水戸
性別:
非公開
職業:
鉄道労働者
自己紹介:
【国鉄水戸動力車労働組合】
1986年結成。JR東日本・JR貨物とその関連会社の労働者で組織する労働組合です。

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