動労水戸情報615号

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外注化絶対反対!エルダー社員への雇用破壊と闘おう

再び仲間から隔離するな!

動労水戸・辻川慎一副委員長のエルダー再雇用をめぐる闘いは、再雇用申込書の提出期限である3月末を経過して闘われている。JRは発足以来、辻川副委員長をはじめとする組合員を売店やそば屋に分散隔離してきた。エルダー再雇用を期に再び組合員から一人だけ隔離しようとしている。勝田から水戸、たった一駅であろうとこのような団結破壊を認めることはできない。
3月16日の団体交渉の場に出席した平成採の支社幹部たちは、動労水戸への不当配転の歴史を知らない。「(勝田→水戸の配転は)総合的判断でさしたる不利益もない」と繰り返す会社側に対し、辻川副委員長は厳しく諭した。
「あなた方に言っても分からないかもしれないが、動労水戸の初代委員長だった私を、支社は仕事もないのに平駅(現いわき駅)に飛ばした。その後はそば屋や売店にのべ22年間だ。最高裁で負けることが分かって勝田車両センターの検修に配属されたのが52歳。その私に組合員たちが『辻川さんと一緒に仕事ができると思いませんでした』って仕事を教えてくれた。ネジ・ボルトの締め緩めに至るまで、検修の仕事は全てに技術がある。それを52歳の素人の私が組合員の力を借りてやってきたんだ。私と組合員は兄弟親子と同じだ」
再雇用拒否=解雇なら動労水戸はとことん争う
辻川副委員長はさらに続けた。「君たちは私と組合員を23年間も引き離して、最後の5年をまた一人にすると言っているんだ。ふざけるな!今でも手紙のやり取りしている30年前の勤労課長が『申し訳なかった』と言っている。君らは30年前と同じことをやろうとしているんだ。水戸であっても組合員がいる検修部門なら構わない。そうでないなら勝田にすべきだ。勝田車両センター所属の組合員のエルダー4人のうち、なぜ私だけが違うのか説明する義務があるだろう。私はエルダー再雇用を希望している。しかし、納得できる説明がないなら絶対に判子は押さない。それで再雇用しないと言うなら解雇ということだな。とことん争うから覚悟しろ!」
支社は何も反論できない。さらに3月31日を過ぎても「解雇できない」ことをはっきりさせた上で「辻川慎一への再提示は例外を作ることになり全体が壊れるのでできない」という会社側の本音を確認した。
社員扱いしなかったのは会社の方ではないのか
3月23日には、支社人事課副課長・車両センター所長・副所長と辻川副委員長の面談が行われた。ここでも会社側は「水戸でお願いしたい」という事実上の再提示を行った。「決して隔離などではない。社員として考えて欲しい」という発言を、辻川副委員長は怒りを込めて批判した。

「今あなたは『社員として』と言ったが、22年間社員扱いしてこなかったのは会社ではないか!鉄道員なのにそば屋や売店。恨みはしていないが、子どもが小さい時『お父さんの仕事を聞かれても恥ずかしくて言えない』と言われたんだぞ。車両センターに来て『どうしてもっと早く戻さなかった』と言った。それから今日に至るまで、私が仕事で手を抜いたことがありますか?私の妻も今年で失業する。生活の不安もあるが、納得できないことに合意する気はない」

そして「勤務先を具体的に提示できるのが定年の1ヶ月前というなら8月に判断する。今合意する気持ちはない」と会社側に突きつけた。
制度のインチキ粉砕し真実に基づき闘おう!
動労水戸の最年長世代がこれから定年を迎える中で、会社によるエルダー再雇用制度のインチキが明らかになってきた。「外注化で先輩の行き先を確保する」と言ったのは誰なのか。経験を生かす行き先などもはやなくなっているし、そればかりか通勤不可能な遠距離出向が一方的に提示され、従わないなら再雇用を諦めるしかない不条理がまかり通っている。

そもそもエルダー社員制度と出向は必ずしもセットである必要はない。しかし、会社はエルダー社員を出向させる根拠が「出向4要件」(①人事交流②経営状況③技術移転④能力開発)のどれに該当するかすらまともに説明できないのだ。外注化を止めれば出向など不要になる。各組合幹部が自己保身で逃げ回っていることだけで成立しているインチキなのである。

動労水戸には30年にわたって守り抜き勝利してきた団結がある。私たちはこの団結を新しい世代に引き継いで欲しいと切に願っている。真実に基づき、共に闘おう!

動労水戸情報614号

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政府も労働組合も真実をごまかしている

エルダー再雇用は会社の義務


「水平分業」は攻撃転籍 総非正規職化への道
職場の仲間の皆さん。「北朝鮮やテロから国民を守る」「日本人の誇りを持て」と声高に叫ぶ森友学園が私利私欲の塊だったことがはっきりした。安倍首相が無関係でないことは明らかだ。原発も戦争も「働き方改革」も、社会の富を独占している人たちの金儲けのためにある。彼らの支配に有利な状況は、労働者が競争し対立していることだ。
JRには多くの労働組合があり、正当性を主張して労働者を囲い込んでいる。
だがはっきり言おう。動労水戸以外の組合は会社と決して闘わない。「正面から闘ったらおしまいだ」「ストライキをやるのは自己満足だ」と言う。しかしそれは真実だろうか?
政府は「少子高齢化は効率化のチャンス」と言い、JRは「選択と集中」「水平分業」へのめり込んでいる。水平分業とは全面外注化であり、JRの正規雇用を低賃金・総非正規雇用に叩き込むことだ。目の前の事態を直視すればはっきりしている。水平分業は子会社への転籍の強制として進む。JR本体に鉄道本体の仕事はなくなる。動労総連合の出向無効確認訴訟で、JR本社はそのことを公言している。


「二者択一」は青年にも必ず突きつけられる
しかし、どの労働組合もこの核心問題を隠し、組合員に徹底抗戦を訴えない。「世代間の技術継承のため」とされた「エルダー再雇用制度」はどうだろうか?現実は「外注化」を抵抗なく進めるための口実でしかなかった。外注会社の促成プロパー社員ができれば、JR本体のエルダー社員など用済みなのだ。

大半のエルダー社員は清掃業務や遠距離配転を一方的に提示され「嫌なら辞めろ」と二者択一を突きつけられている。狭い鉄道業務の枠を争い、醜い競争が展開されている。個別に裏でうまくやるか、二者択一を迫られるかしかないとすれば、労働組合は何のためにあるのか。
この攻撃はこれから間違いなく青年たちにも突きつけられる。「関連会社に行くか、嫌なら辞めてよい。仕事はプロパー社員がやる」と。転籍に応じたとしても、「プロパー社員と同じように何でもやってもらう」そして「同じ仕事なんだから同じ賃金でやってもらう」…そうなることが目に見えている。
 
来年3月末に向けて、非正規雇用1500万人、派遣労働者350万人が一旦雇い止めになる。全社会に非正規雇用がまん延し、どんなに働いても明日が見えなくなる。社会には怒りが満ちあふれることだろう。憲法改悪や共謀罪は、労働者国民の怒りから支配層を守るための方策だ。アメリカを見れば歴然としている。僅かなお金で国民どうしを対立させ、戦争も原発事故も財政破綻も、政府は何の責任も取らない。
福島の状況を見て欲しい。原発事故は何も収束していない。再び巨大地震が起きたらどうなるのか。JRは福島第一原発のわきの常磐線を開通させ、人の帰らない地域の「要望」だの「復興」「社会的使命」と言っている。福島の小児甲状腺ガンは185人にのぼり、大人にも異常が出ているのにだ。

JRの労働者と労働組合は、目先の利益のために帰還と被曝の強制を黙って見過ごしていいのか。労働組合ってそんなものなのだろうか?


辻川副委員長に対する再びの隔離を許さない!
動労水戸初代委員長で現在は勝田車両センターで働く辻川慎一副委員長は、エルダーの配属先としてMTS水戸事業所を提示された。勝田から水戸、たった1駅分の配転だ。辻川副委員長は元電車運転士だが、動労水戸結成から一貫して組合員から隔離され、22年間にわたって鉄道業務から排除されてきた。最高裁判決勝利とともに勝田車両センターに配属になったのは52歳。ようやく組合員と合流し、鉄道業務に戻った。
それから7年、年配の組合員だけでなく照沼君をはじめ青年労働者が動労水戸に加入した。会社は鉄道人生最後の5年間を再び組合員から隔離しようとしている。一方的に提示された配転を拒否すれば解雇。これはエルダー社員だけの問題ではない。職場の青年たちがこれから突きつけられることに他ならない。辻川副委員長は現場と水戸支社の提出期限を越えて「納得できる再提示」を求めて署名捺印を拒否し続けている。
 
口先できれいごとを言って、自分だけうまく立ち回る。もうウンザリじゃないか。仲間と信頼し合い、仲間と共に生きる。それが労働組合だ。乗客を守り、地域の人々と共に福島の人々を守ろう!

その力がJRの労働組合にはある。みんな動労水戸と一緒に闘おう!


動労水戸情報613号

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出向無効確認訴訟 全3回の証人尋問を闘い抜く

民営化・外注化は究極の社会破壊

「コスト削減」=全業務をプロパーに丸投げ
1月13日の出向無効確認訴訟・第3回証人尋問では、動労総連合・田中康宏委員長とJR東日本本社・池田裕彦車両運輸部次長が証人に立った。

田中委員長は証言の中で、鉄道業務はそもそもJR本体の指示がなければ動かないという事実を説明しながら、委託会社が独自に業務を行うことはありえないと断じた上で「JRの丸写しの作業要領を使い、JRの設備である信号に従い、JRが詳細に定めた運転・検査方法に従って業務を行う。社員の健康診断までJRの基準だ。これが偽装請負ではなくて何なのか」と訴えた。
 
本社・池田証人は、外注化による「コスト削減」について、具体的な削減目標は「わからない」と回答。「労働密度の向上」については、委託会社のプロパー労働者に、清掃・運転・仕業検査・誘導の全てをやらせることによって、空き時間をなくしコストを削減すると回答。入社から定年まで働いても月20万円にも満たない低賃金のプロパーに鉄道業務の全責任を押しつけると会社は宣言したのだ。傍聴者からは激しい怒りの声が飛んだ。
 
動労総連合弁護団は池田証人をさらに追及した。

JRは赤字なのか?

池田「違う」

外注化する必要があるのか?

池田「グループ会社の一体的 発展を考えて…」

出向は原則3年としているが、JRに戻す計画は発令の時点であったのか?

池田「戻っている人はいます」

なぜ平成採は返して、国鉄採は返さないのか?

池田「平成採には将来いろいろな道がある」
 
発令の時点でJRに返す計画があったかどうかだけ答えてください

池田「なかった」
 
裁判長からの「なぜ外注化したか答えてください」「エルダーを自社で雇えるのではないですか?」との質問にも、池田証人は答えられない。「外注化の目的」について本社代表が答えに窮するという異常事態だ。
 
労働局が3支社に指導票 JRの偽装請負を指摘
 
裁判では、組合側の要求した文書提出命令によって、千葉・水戸・高崎3支社に対して、労働局(労働基準監督署を管轄する厚労省の地方機関)からの「指導票」の内容が明らかになった。指導票とは、労働法制に違反しそうな企業に労働局が出す、いわば「イエローカード」だ。
 
労働局は、運輸長→運転区長→運転士という鉄道の厳格な責任体制を前提に、今回の外注化で「請負事業者(=鉄道サービス)の労働者が、実質的にJR東日本の管理監督の下で業務を遂行しなければならない場合は、労働者派遣事業に該当します」と指摘している。
そして「JR→鉄道サービスへの出向は労働者派遣になっているのでは?鉄道業務への派遣労働は鉄道事業法違反となる。違うというならちゃんと説明しなさい」としている。

しかし会社は「労働局がそれ以上何も言ってこないからクリアした」などと無視を決め込んでいる。行政機関からの指摘すらないがしろにするJR東日本は「ブラック企業」そのものだ。
 
今回の証人尋問でも、組合側弁護士の「鉄道事業法では、乗務員の資質管理はJRで行い、運転管理者は、例えば車両センターではセンター所長であることは知っていましたか?」の質問に対し、池田証人は「はい」と答えた。構内運転業務が外注化された職場であっても、運転管理者は鉄道サービス事業所の所長ではなくJR本体の管理者だということをJR本社が認めたということだ。

業務が外注化されプロパーが仕事をしていても、管理はJRが行う…これは明確な偽装請負だ。職場と裁判の闘いが法律違反を暴き、JR本社を決定的に追い詰めている。

動労総連合に結集しよう!転籍攻撃と闘おう!
今年からJR本体→子会社への転籍攻撃がポテンシャル採用を皮切りに本格的に始まる。平成採に会社は「JRに残りたいならば、周りを蹴落として上を目指すか、それができなければ子会社へ転籍になるか」の究極の二択を突きつける。強制出向の次は強制転籍だというのだ。
 
労働者が生き残る道は、仲間と団結して闘うことだ。これからの社会を担う青年の決起が外注化・転籍攻撃を止める力になる。
全ての労働者、とりわけ青年労働者は動労水戸・動労総連合に結集し共に闘おう!

動労水戸情報612号

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3月ダイ改 水戸支社は乗務員の切実な要求を聞け

支社団交 浪江開通の「安全の根拠」も示せず

JR水戸支社は、2017年3月ダイヤ改正と小高―浪江運転再開について、1月18日に関係各組合に提案した。

内容は、いわき以北の通学列車の時間を調整すること、小高―浪江開通を前提としてダイヤを設定すること、開通の時期は未定だが、自治体からの要請で4月以降に運転再開できるよう3月11日以降に試運転・訓練運転も始めるとの説明があった。

これを受けて動労水戸は2月8日・14日に団交を開催した。


「避難解除=安全」のウソ 支社のあきれた楽観論
浪江延伸の理由・根拠について水戸支社は「(自治体の)首長からの要請があり、復興のため重要な交通インフラの整備であり、社会的使命がある」と回答した。これに対して組合が「避難解除した場所でも住民は1割しか戻っていない。放射線の危険があるから戻りたくても戻れないのだ。住民が戻らなくては復興にならない」「安全に住める、安全に鉄道を利用できるという根拠を示せ」と迫ると、会社は「自治体が避難解除することは判断のひとつ」と言うのみで具体的な根拠は何も示せなかった。唯一、小高―浪江の線路の空間線量率(地上1mの値)が示されたが(人間は1m浮いていない)、浪江近辺では0.2~0.9マイクロシーベルト毎時と全く安全ではない。

さらに最近、福島第一原発2号機の画像が公開され、530シーベルト毎時(650との説もあり)もの放射線が今でも出ているという驚愕の事実が明らかになったにも関わらず、会社は「計画の変更はない」としている。



組合「原発で事故が起こった時の対策や訓練は?」

会社「これから自治体と調整」

組合「イノシシなどの対策は?」

会社「これまでと同様と考えている」
つまり、自治体が避難解除すればJRは運転再開する、原発がどうであろうと、住民がどうであろうと、JRの労働者が危険にさらされようと、その対策など何も考えていないということが明らかになった。JRの言う「インフラの社会的使命」とは、住民・乗客・JR労働者を被曝の危険にさらすことなのか。

北海道では、住民を無視して旭川以北は線路がはがされようとしているではないか。JR東日本でも千葉・内房線をはじめとするローカル線の切り捨てが始まっている。福島は放射能で人が住めない所に線路を引いて、赤字の北海道やローカル線は線路を引きはがそうとする。とことん矛盾している。怒りを一つにして闘おう。
運転士が亡くなっても危機感がまるでない会社
ダイヤ改正に伴う乗務員の行路の検討などの前に、各運転区所の要員状況がひっ迫している問題を追及した。

組合が「毎年秋から年末にかけて決まって要員がひっ迫する。7月から1月までの休日勤務の数、研修などの日数を明らかにせよ」と追及するも、会社は「休日勤務が多いからといって要員がひっ迫していると一概には言えない」「データが膨大で出せない」と具体的データを開示することさえ拒んだ。
運転士の乗務行路の問題では、組合は主に以下の3点の要求を追及した。

①「勝田運輸区では日勤行路13本中11本が宵出し(早朝出勤のため前日から職場に泊する)となっているが、全く改善されていない。大型の行路も行き先を変えただけのその場しのぎだ。昨年は現役の運転士が急逝し病人も続出している。何とかしなければという危機感が全く感じられない」

②「大子の304、305、306行路は日勤で拘束が長い。特に306行路は12時間49分拘束で退勤が23時。通勤も危険。毎年改善の要求が出ている」

③「土浦66行路の水戸即折り返しはトイレに行く時間もなく改善されたい」
 
これに対して会社は「早朝出勤を解消するには泊行路とするしかなく拘束時間が延びてしまう。列車体系が変わらなければ変更は難しい」などと回答。 組合からは「その区で担当している列車を見直すこと。『区所の役割』(UTライン開通に合わせて各区の担当線区を住み分けしたこと)は大破産している。検証するべきだ。乗務員が働きやすいように要員を増やせ」と反論するも、会社は「提案どおりでお願いしたい」と全面的に対立した。
必要なのは抜本的改善 動労水戸と共に闘おう
今ダイ改では、水戸支社関係では列車改廃はなく各区所の担当する列車も変わりない。だからと言って黙っていられるのか。ただちに抜本的改善が必要だ。沈黙は現状を認めることになる。

会社は、運転士・車掌の締め付けだけは強化する。小便をした、携帯をいじった、タバコを吸った、居眠りをした、それですぐ乗務停止。ふざけるなと言いたい。こんな行路で睡魔に襲われるのは当たり前だ。
自らの命と安全を守るために、声を上げ共に闘おう。

動労水戸情報611号

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12・16動労総連合出向無効確認訴訟

JR水戸支社元運輸部長・斎藤庄一証人を追いつめる

12月16日、動労総連合が提訴した出向無効確認訴訟が東京地裁・大法廷で開催された。前回10月28日の動労千葉とJR千葉支社に続いて、2回目の証人尋問である。

今回は動労水戸・石井委員長と藤枝誠司組合員、動労連帯高崎・漆原副委員長、水戸支社元運輸部長・斎藤庄一の証人尋問である。鉄道業務の全面外注化=水平分業を狙うJR東日本は、この裁判に負けるわけにはいかないと、本社・支社の課員を50名以上動員し、傍聴券を独占しようとしてきた。しかし、傍聴券闘争は、動労総連合とその支援者が大挙結集し、会社側を圧倒した。
 
裁判の争点は、①本人同意もない、労働組合の協定もない中で、本人の意に反して強制的に出向に出した問題。②偽装請負の実態として、JRからMTS社員に直接の指示が出されている問題。③勝田車両センターで発注書がないままに作業内容が変更され、結果脱線事故が起きたこと。背景として外注化前には配置されていた誘導係の日勤が廃止された問題。④MTS大子事業所での動労水戸スト闘争に、JR水戸支社が介入した問題。⑤3年という出向期間に根拠がないという問題。⑥「作業に変わりはない」としているが、大子事業所で夜間作業責任者(当直)が不在で、JR―水戸事業所―大子事業所・誘導のファックスのやり取りが煩雑すぎる問題などである。

 
組合員の意に反した労働組合無視の出向

石井委員長は証言台に立ち、「88年動労総連合定期大会で、『本人の同意なき出向は認めない、出向協定は結ばない』と決定し、今も方針は変わらない」と証言した。

会社側は「就業規則に出向の定めがあるから(組合として反対していても)出向させることができる」と主張している。だとするならば、現状のように動労総連合以外の労組とわざわざ出向協定を結ぶ必要はない。この事実こそ、会社が得手勝手に労働者を出向させることができないという動かぬ証拠である。


MTS水戸事業所での偽装請負の実態暴露
 
13年9月16日に水郡線が台風で運休し、MTS水戸事業所の作業責任者・磯良は、21時過ぎに電報で運用変更の指示があったにもかかわらず事態を放置し、翌朝JR本体の構内助役が直接構内運転士に入換の手順を指示したことがあった。石井委員長はその場でその言動を聞き、「直接指示は違反だ」として中止するよう言ったが、発注書も指示書もないまま作業が開始された。会社側証人の元運輸部長・斎藤は事実を問い詰められ「構内助役は誰に言うともなくつぶやいただけ」などと苦しい言い訳をした。

そもそも、間仕切りもない同じ部屋を4年間もJRとMTSが共用していること自体が偽装請負の動かぬ証拠なのだ。
勝田車両センター18番線 脱線は外注化が原因
 
15年2月12日、勝田車両センター18番線で脱線事故が起きた。当初、庫の前で一旦停止して列車を分割し、分割した車両をアントで引き込むことになっていた。しかし作業当日に機動班班長が、アントではなくて車両の動力で押し込むと勝手に変更し、機動班との打ち合わせがないままに押し込み作業をしたため、スコッチに乗り上げ車両が脱線した。
 
証言に立った藤枝組合員は、「こういった作業の場合、外注化前は誘導係が主導し機動班などと綿密に打ち合わせして作業を行っていた。しかし、外注化され別会社となり打ち合わせができなくなったことが事故の直接の原因だ」と明確に証言した。そして、外注化前に配置されていた誘導補助者が外注化によって勝手に廃止されたこともまた事故原因だと指摘した。

斎藤証人は、この事故について質問され「作業変更の発注書はない」ことを証言し「緊急性があったので、発注書はない」と言い訳した。しかし、必要だった作業とは17番線にあったアントを18番線に移すだけのことであり、緊急性はないことが反対尋問で明らかになった。
 
業務がJRとMTSに分断され、作業打ち合わせができず、発注書も指示書もない無責任きわまる作業がこの脱線事故を起こしたのだ。会社は事故の責任を労働者になすりつけている。断じて認めることはできない。


MTS大子事業所ストにJRが直接介入
 
14年9月11日、MTS大子事業所で動労水戸組合員の出向者がストライキに決起した。そのスト破り要員として、東労組組合員に業務命令が出された。東労組水戸地本機関紙「JRみとNO44」によると、東労組とJR水戸支社が協議し、支社勤労課長が(業務命令は)「不適切であり、あってはならない事象」と見解を示し、その後「要員措置を検討している」と回答したとしている。

石井委員長が「JRが動労水戸のストに介入している」と証言した。斎藤証人は「会社は関与していない」と証言したが、「要員措置を検討している」と勤労課長が言ったとおりJRからMTSに運転士1名が出向している。JRはスト破りのためにMTSの人事に介入したのだ。


やっぱり根拠ゼロだった!「出向期間3年」の大嘘
斎藤元運輸部長の反対尋問で、「出向3年で出向社員を返す計画があったのか」との質問に、「JRでは他職種でもそうだが3年原則としている」と回答した。MTS水戸事業所・大子事業所ではプロパーがおらず、土浦事業所のプロパー1名も一人前になっていないことを追及すると、「知らない」と逃げた。

結局「10年ということで考えている」と証言し、出向者がそのままJRに戻ることなく退職させようとしていることが明らかになった。出向は「片道切符」=実質的な転籍の強制なのだ。
外注化で極限的煩雑化 大子夜間入替計画変更
会社は外注化の前後でも「同じ場所・同じ作業・同じ賃金」などと主張してきた。しかし、とりわけ大子の誘導業務は外注化を前後して大変な変更を強制されている。

MTS大子事業所では17時以降、作業責任者(当直)が不在となる。水郡線の運用が乱れると、JR大子当直発注書→MTS水戸事業所→MTS大子誘導・入換計画書→MTS水戸事業所→JR大子当直→MTS水戸事業所・作業指示書→MTS大子誘導という煩雑なやり取りが全てファックスで行われる。

これを組合側弁護士が斎藤証人に確認すると「その通りです。正式なやり方はそうです」と証言した。弁護士が「こういったやり取りは煩雑ではないですか?」と正すと、「正式にはそうです」と繰り返すばかり。業務が煩雑であるかどうかは終始ごまかし続けた。

外注化前は誘導担当者がJR当直助役・運用担当者・列車指令などと直接相談してスムーズに作業ができた。指示の煩雑化は行き違いや取り違えなどのミスのもとであり、重大事故に直結する大問題だ。



「第2の分割民営化」に団結して立ち向かおう!
今回の証人尋問で、外注化が重大事故を引き起こし、現場労働者には無駄な負担を強いていることが明らかになった。そして、プロパーには鉄道の技術が継承されず、誰も責任を取らない体制になっている。

MTSでは、運転スタッフ以外の者が構内運転を行い、国交省関東運輸局が調査に入るという事態まで起きている。的確な指示ができない作業責任者が配置され、会社としての機能も崩壊しているのだ。
 
国鉄分割民営化から今年で30年になる。外注化によって平成採の青年が業務を奪われ、低賃金の外注会社プロパーに置き換えられている。まともな技術教育も受けられず、責任ばかりが押しつけられることに嫌気が差して辞めていくプロパーの青年が後を絶たない。

不毛な競争が強制されている平成採の本体労働者は、JR本体から外注会社に業務が丸投げされた後は「用済み」で切り捨てられるしかない。これが「第2の分割民営化」なのだ。
 
鉄道の仕事には誇りがあり、仲間と成し遂げる協働の喜びがある。鉄道業務を軽視し、金儲けの道具にするJRに対し、動労水戸は断固として闘う。

これ以上の外注化を絶対に許してはならない。本体・関連企業の労働者は動労水戸・動労総連合に結集し、団結して共に闘いに立とう!

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動労水戸
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非公開
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鉄道労働者
自己紹介:
【国鉄水戸動力車労働組合】
1986年結成。JR東日本・JR貨物とその関連会社の労働者で組織する労働組合です。

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