本当にコロナ感染予防だろうか

 JR水戸支社は10月から、泊まり勤務者の宿泊場所でのベッドのシーツ交換を、宿泊者自身に行わせることを始めました。その理由は「コロナ感染予防と経費節減」と言われています。
 しかし、宿泊者自身がシーツ交換だけをすることが、どれだけコロナ感染予防になるのでしょうか?
 結局の目的は、とにかく経費をカットすることではないでしょうか。



 これまでのシーツ交換は、乗務員の宿泊場所では委託しているグループ会社の労働者が担当していました。これを宿泊者自身で行うことで感染予防をするということですが、科学的根拠はあるのでしょうか。
 シーツ自体はその日に宿泊する労働者だけが触れることになりますが、みんなが必ず触れることになるドアやハンガー、目覚ましとなる起床装置等は、なにも対策がされません。コロナ感染は、接触や飛沫によって感染すると言われます。今回の対策では、十分な感染予防になるとは思えません。


(JR東日本は「えきネット」で「おこし太郎」を一般販売している)

 一方でこのシーツ交換は、乗務員からすれば睡眠時間を削られる労働条件の改悪になっています。乗務員の行路によっては、睡眠時間が4時間に満たない場合もあります。こうした中でたかが5分程度であっても、乗務員の負担は大きくなります。起床後も片付けをしなければなりませんが、宿泊後の勤務では起床時間は、点呼の10分前が指定されています。実際には、ほとんどの乗務員がこれより前に起床していますが、これがさらに前倒しにされていると思います。
 乗客の生命を乗せて列車を運転する乗務員の労働に、このような負担をかけるのは安全を損なうことになるのではないでしょうか。



 さらに、このシーツ交換は労働時間にはならないため、、無償で行わせられています。
 これまでのシーツ交換は乗務員の宿泊場所の場合は、委託会社の労働者が清掃と合わせて行なっていました。つまりは、委託費を支払って用意してもらっていたのです。それを切り離して、無償でシーツ交換をさせるようにしたのです。委託会社の労働者は、これまで通りに宿泊場所の清掃を行っています。しかしシーツ交換を切り離したことでパート時間が少なくなり、賃金が減ってしまうそうです。
 結局は、有償の労働を無償にして経費をカットすることだけが、コロナ感染を理由としてやられたことではないでしょうか。
 労働条件を悪くして、乗客の生命を軽んじるやり方に、私たちは疑問と怒りを感じています。


少しでも被曝から守りたい

 先日、組合員から聞いた話です。その組合員は常磐線いわき以北を乗務する運転士から伝え聞いたそうです。
 今年3月に多くの反対の声を無視して運転再開した富岡ー浪江間では、場所によっては乗務員室で3マイクロシーベルト/hにもなるそうです。これは「切り取り」という乗務員室と同じような高さの土手の辺りで計測されているようです。
 会社は「敷地内は除染したから安全」として全線開通させましたが、列車は沿線の放射能を車内に取り込んで走っているという事です。


 さらに、9月10日には大野ー双葉間で、上り列車が猪と衝突して3時間も停車する事態が起きました。乗客は救済のタクシーが来るまで2時間も列車内で待たされたようです。
この辺りのJR敷地脇の放射線は6マイクロシーベルト/hくらいあり、乗務員はその中で車両の外に出て点検などを行わざるを得ませんでした。
 会社は全線開通にあたって安全は確保されているかのように言っていましたが、現実は乗客・乗務員を放射能にさらしているのは明らかです。
 
 動労水戸は全線開通が推し進められる中で、2011年10月以来「被曝労働」を最大の問題として闘ってきました。仕事によって被曝させられる事に反対することを通して、すべての労働者・住民を被曝させないために「常磐線全線開通反対」を訴えてきました。

 常磐線は全線開通されましたが、職場で被曝が問題になることはこれからです。
 勝田車両センターでは、この被曝対策として労働安全衛生委員会の中で声が上がり除染作業で使用する防護マスクが配布になりました。
 また動労水戸の団体交渉における「希望者への血液検査の実施」の確認により、放射線技師と同様の検査を行うことが確認されています。


 すぐには放射線被曝を防げるわけではないのですが、その職場で働く労働者として声を上げていくことが、命を守ることになるのではないかと思います。


車掌を無くしても安全は低下しない?

 動労水戸は8月31日、「中編成ワンマン運転拡大」に伴う車掌合理化反対の団体交渉を行いました。
 今回の交渉では、主要に「ワンマン運転拡大の目的」と「機械に置き換え可能な車掌業務」を追求しました。
 「ワンマン運転拡大の目的」について会社は「鉄道の移動ニーズが縮小し、このままでは会社の維持が困難。機械に置き換え、効率的な業務執行体制を作るため」と回答。そうすることによって生み出された人材を「人ならではの創造的な仕事へシフトしていく」と。具体的には何かと聞くと「JRグループとして作っていく」という漠然とした回答。



 結局は「人ならではの仕事へシフトする」は後付けの理由で、最大の目的は車掌の要員削減であることが明らかとなりました。
 また、車掌をなくすためには、これまで車掌が行なってきた役割や業務を別に置き換えることが必須ですが、とうていすべてを置き換えることは無理であることが明らかになりました。
 例えば、車掌の執務標準(規定)には「列車が停車駅に進入あるいは進出する場合は、ホーム上のお客様の状態に努めて注意する」と定められています。会社は置き換えができないことを認めつつ、「(規定は)車掌が乗務したときのもので、ワンマン運転にはあたらない」と開き直りました。


(何かあったらすぐ止められるかどうか、利用者の安全を守る車掌の重要な役割なのだが.....)

 車掌が乗務していれば、触車やドアはさまり、引きずられなどが起きた時に即座に停止させることができますが、それができなくなってしまうことは明らかに安全性の低下ではないかと追及すると、会社は「列車が動きだしてから止めることはできないが、ワンマン運転に関する省令をクリアしているから安全性が低下するとは認識していない」と回答。本当に鉄道会社の回答なのか耳を疑いました。

 会社はJR東日本グループの行動指針で、「究極の安全の追求」や「質の高いサービスの提供」を唱っています。しかし「ワンマン運転」は一層のコスト削減であり、行動指針とは真逆の行為です。乗務員を減らし、すべてを利用者任せにするものでしかありません。こんな理不尽な施策は絶対に無くして行きましょう。

いったい誰のための意見交換会か

 JR水戸支社では、来年3月の水戸線ワンマン運転導入に向けての動きが出ています。
 8月7日、水戸運輸区のマイプロジェクトメンバー数人が、郡山運輸区に「出張」扱いで、東北本線の黒磯ー新白河で中編成ワンマン運転を進めた「中編成ワンマン運転推進委員会」との意見交換会を行ったことが郡山運輸区で報じられました。
 また、水戸線のワンマン化の対象となる水戸運輸区・勝田運輸区では、8月17日から「中編成ワンマンの導入について」全乗務員対象の説明会が開始されています。
 こうした時期に、すでに導入されている東北本線の中編成ワンマンを担当する郡山運輸区との意見交換会を行う目的は、社員の中からワンマン化の理解を深め、ワンマン化を推進するためでしかありません。


(車掌がいるから通勤時間帯もスムーズに発車できる)

 ワンマン化するということは、車掌の仲間の仕事や職場を奪い、運転士にこれまで以上の労働強化をおしつけるものです。意見交換会に出席したメンバーは自分たちのしていることに自覚はあるのでしょうか?
 郡山運輸区の掲示物を見れば一目瞭然ですが、こうした「取り組み」は会社の意に沿った積極的なものとして「お手柄」となり、勤務評価がプラスとなるのでしょうか。そんなためにやったわけじゃない、と言い訳しても職場の仲間はどう見るでしょうか?
 ワンマンの説明会では「安全にできるという根拠を明らかにしろ」「黒磯ー新白河と水戸線では乗客の数がぜんぜん違う」「車掌がいなくなったら車内秩序はどうなるのか」など、当然にもワンマン運転に反対する意見が数多く出されています。


(車内秩序が維持できているのも車掌がいるから)

 社会の生産は労働者の協働で成り立っています。鉄道の運行も、すべての職種の労働者の協働によって安全に運行されています。そしてこの協働を担うすべての労働者には、それぞれの生活があります。列車の安全な運行は、すべての労働者が安心して働けることが大前提ではないでしょうか?

 もう一度、自分が担ってきた鉄道の仕事や、一緒に働いてきた仲間の存在をとらえ返し、仲間と共に生きていくために、ワンマン運転反対の声を上げていくことを訴えます。


5両編成のワンマン運転の現地調査を実施

   動労水戸は7月19日、今年3月から東北本線で実施されたワンマン運転の実態を見るために、現地調査を行いました。


(黒磯駅に集合=ワンマンは新白河まで5駅23分の短区間)

   JR東日本は来年3月に、水戸線の全列車と水戸線直通の常磐線・友部–勝田間の一部列車で、5両編成のワンマン運転実施を提案しています。
今回の調査には、同じく来年3月に内房線、外房線、鹿島線でのワンマン運転提案がされている、動労千葉の仲間も参加しました。

   この日調査した列車では、日曜の昼過ぎというのに乗客はほぼありませんでした。
乗客の乗り降りを確認するために、運転席の頭上にモニターが2つ付いています。駅に到着してドアスイッチでドアを開けると、モニターに各車両とホームが映ります。1つのモニターを3分割して映しますが、ホームは最大で5メートルくらいまでしか映りません。車掌の目であれば、ホーム全体や階段から来る乗客も確認していると思いますが、車両に取り付けたカメラではそこまでできません。


(車側モニター=1つを縦に3分割)


(パイロットランプ点灯後もモニター確認?!)

   運転士がドアを閉めると、閉まったことを知らせるパイロットランプが点灯します。運転士はパイロット点灯で列車を発車させます。発車して数メートルくらいまでは、まだモニターにホームが映っています。

   車掌の業務では、駅での停車前、停車中、発車後の各30秒のホームの安全確認を行います。この発車後の確認を、ほんの数メートル映しただけで、車掌の安全確認に代えてしまっています。まして運転士は、列車が動き出せば前方注視義務があり、いつまでもモニターを眺めているわけにはいきません。
車掌が行うように、ホームを抜けるまで安全確認をすることが不可能なのがワンマン運転です。


(日曜の昼下がりでも1人も乗降客なし)

   車内放送は自動放送であり、各駅の到着時間や詳しい乗り換え案内はありません。車掌だからできる仕事が切り捨てられています。この他にも多くの問題があるのがワンマン運転です。

   私たちは、ワンマン運転は人件費削減のために車掌そのものを無くし、乗客の安全、鉄道の安全を破壊するものだととらえています。これまで2両編成で行われているワンマン運転でさえ、乗客と運転士への負担が増えました。
5両編成のワンマン運転を開始することで、JR東日本はほとんどの列車にワンマン運転を拡大しようとしています。私たちは乗客の安全と車掌の仕事を守るために、ワンマン運転に反対していきます。

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プロフィール

HN:
動労水戸
性別:
非公開
職業:
鉄道労働者
自己紹介:
【国鉄水戸動力車労働組合】
1986年結成。JR東日本・JR貨物とその関連会社の労働者で組織する労働組合です。

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