コロナ対策を求めて団体交渉

   5月3日、安倍首相は「改憲」に向けたメッセージを出しました。国民の私権を制限する緊急事態条項を制定し、自衛隊を国軍として明記することが核心だと思います。


   
この「改憲」をにらんで、新型コロナ対策として「緊急事態宣言」が出されています。国民に自粛を要請するだけでなく、「自粛警察」と言われる国民相互の社会監視が起きています。
   こうした動きは第二次大戦中の暗黒の社会ではないでしょうか。「改憲」による緊急事態とは、そういう社会が当たり前になっていくということではないでしょうか。これまでの社会が戦前へと回帰するのではと、危惧せざるを得ないですね。



   さて、動労水戸は4月28日、新型コロナ対策として水郡線の1両運転の解消を求めて、水戸支社との団体交渉を行いました。
昨年の台風被害で寸断されている水郡線では、常陸大子➖郡山間で1両運転の列車があります。この列車は、通勤・通学の多い時で70〜120人程度の乗車があります。現在、福島県内の高校が休校していて混雑緩和はされていますが、新型コロナ感染が非常に心配される状況です。現場の乗務員からは、混雑時の状況なども報告をあげているところです。

   この日の交渉の前に水戸支社は、7月上旬の西金➖袋田間の運転再開時に合わせて、常陸大子➖郡山間の1両運転を一部を除いて解消すると提案しました。

   交渉の中で組合は、「命に関わる問題であり、計画を前倒ししてもらいたい」と求めましたが、会社側は「窓を開けるなどの対策をとっている」「交番検査や工場入場などの都合で、前倒しはしない」と、現場からの報告があがっているいることをわかっていながら、今回の要求を拒否しています。



   学識者等からは、列車内での新型コロナ感染の危険性も指摘されています。命に関わる問題よりも、会社の都合を優先させるべきではありません。

   動労水戸は乗客と乗務員の安全を守るために、さらに会社に要求していこうと考えています。安全問題を会社任せにせず、労働組合だからできることを、現場労働者と一緒に取り組んでいきたいと考えています。

まともに仕事をしたら運転事故になる

 新型コロナの感染拡大が止まりません。外出自粛や休業補償などによる倒産や失業・減収問題も起きています。国の緊急事態宣言は無責任極まりないですが、それでもみんなで協力して生きていけたらと思います。そのためには、自分にもまわりの人にも十分気を付けるようにしたいですね。



   水郡線では昨年の台風被害によって、西金ー常陸大子間の不通が続いています。その水郡線での常陸大子−郡山間の運行を確保するために、現場では多くの負担がかかっています。
その一つに、列車の整備時間がまともに確保されない事態があります。これは常陸大子に17時38分着の列車を、18時05分発の郡山行きにするための作業です。常陸大子着の列車は17時40分に車両整備のために、駅から車庫に取り込みます。車庫では再び駅に出す17時57分までに、給油作業や出区点検が行われます。しかし、この給油作業は10分かかることになっています。さらに出区点検は明確にはされていませんが、2両編成では15分程かかります。
こうした仕事に25分はかかるのに、計画では17分しかありません。現場ではこうした計画を何とかしようとしていますが、水戸支社はこの計画を押し付けています。



   実際に、この仕事をまともにやったら駅に出区するのが18時01分になる事象がありました。出区する時間に遅れてしまうと、普通は「出区遅延」という運転事故になります。運転事故は、職場では注意喚起の掲示が出されたり、全社的に周知されたりします。
   今回の事象の原因は、明らかに水戸支社の計画にあります。現場ではこの計画を何とかしたいと苦労していますが、水戸支社は何の対応もしていません。しかもこの「出区遅延」を、なんの問題にもしていないようです。現場の労働者が何かを起こせば大騒ぎするけど、自分達が計画したものが事故になったら知らんぷり。こんなのおかしくないですか。
会社は「究極の安全」などとお題目はたくさん打ち出します。ですが現場に押し付ける計画は、まともに列車が走れるものではありません。こうしたあり方は、必ず大事故を引き起こします。
それが鉄道の歴史でもありました。


(リンゴの花だそうです=国分談)

そうしたものを正していくために、労働者は力を合わせなければならないと思います。そうしたものが労働組合であり、動労水戸はそういう労働組合でありたいと思います。

「緊急事態宣言」の中で起きていること

   新型コロナ特別措置法に基づいて、安倍首相が7日に緊急事態宣言を出しました。対象は7都府県で、期間は5月6日までとしています。


   ポイントは、国民の協力を求めるとともに医療体制の強化を図る。私権制限を伴う措置が可能。外出自粛要請に強制力はない。都市封鎖(ロックダウン)は想定しない。このようなものです。

   JR東日本では新型コロナ対策として、社員へのマスクの着用や駅での停車時にすべてのドアを開けること、車両清掃時の消毒等の対策が出されています。また、可能な職場でですが、時差出勤や自宅待機の措置がとられています。

   どこまでやれば大丈夫なのか分からない中で、みんななんとか乗り越えようとしていますね。
   ですが、この緊急事態宣言では労働者の生活を守ることは感じられませんね。休業補償はどれ程あてにできるのでしょうか。解雇になった労働者への補償はどうでしょうか。大きな疑問を感じます。


   もう一つ、厚生労働省から茨城県のある個人病院には、「安倍のマスク」が送られてきたそうです。職員に1枚配布されたそうです。安倍首相が着用してアピールしていますが、医療現場にこれがありなのでしょうか。どこに医療体制の強化があるのかと疑ってしまいます。


   結局、今回の緊急事態宣言は、私権の制限ができる法律を発動したことが核心かと思います。差し当たり規制はしなくとも、大阪府知事は警察による監視も考えているようです。そういう社会への転換として出された宣言だと思わざるを得ません。

   こんな宣言を出さずとも、命を守る対策はいくらでも取れると思います。茨城県の高校生は自らの命を守ることと教育格差を生まないために、有志で「全ての県立高校の休校」を求めて、ストライキを行なっています。この高校生たちは、純粋に命を守るために取り組んでいると思います。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202004/CK2020041102000263.html




   私たちも、自分や家族、仲間を守るために、自分たちで考えて生き抜いていきたいですね。

労働者のための労働組合を

   3月は、JR東日本の各職場で「労働者代表(過半数代表)選挙」が行われました。その中で水戸支社では、水戸運輸区、勝田運輸区で、東労組から分裂した輸送サービス労組の候補者が当選しました。会社側の職場支配を打ち破る勝利だと思います。
(国分勝之撮影)


   JR東日本、会社から労働組合を無くすために、労働組合解体を続けています。その目的は、労働組合との合意無しに就業規則や合理化施策を進めることです。その労使合意を労働者代表との間で進めようとしています。
   経団連では、「労働法規委員会」というものが設置されています。これは、労働組合との合意無しに就業規則の変更ができるように、法整備しようという委員会です。この委員会の会長がJR東日本の冨田会長です。労働組合の無い会社を全国に拡大し、労働組合の無い社会にしていこうとしています。この行き着く先は、労働者の無権利であり、低賃金と長時間労働ではないでしょうか。


(国分勝之撮影)

   一方で、これまでの労働組合は労働者にどのように認識されてきたでしょうか。多くは「どうせ会社の言う通りに決めてしまう」という、労働者が信用する事ができないものになっているのではないでしょうか。さらには、労働者の考えを無視して「執行部が決めた方針を押し付けるもの」と捉えられてきたのではないでしょうか。
   現場組合員を無視して会社と上手くやってきた結果が、過労死やワーキングプアに労働者をつきおとしてきたと思います。

   こうした労働組合に対する認識に対して、今回の労働者代表選挙は大きな転換を切り開いたと思います。会社の労働組合解体攻撃に対して、現場の労働者が立ち向かった。その中で勝利した。現場の労働者が主人公になることで、組合員も非組合員も立ち向かった。労働者の本当の団結が示されたと思います。


(3月ダイ改・常磐線全線開通反対の行動を報じる『東京新聞』)

   動労水戸もこれまでの労働組合のあり方を見直し、労働者が主人公の労働組合を作っていきたいと思います。
   激動の時代は、労働者が生きていくための本当の団結が作れるのではないでしょうか。
   「たかが労働者。されど労働者」です。社会を動かす労働者が団結ら、社会は変えられるはずです。

会社は労働者の命を守れ❗️

 動労水戸は3月13日、常磐線全線開通と被ばく労働に反対して、ストライキと勝田車両センター前行動を行ないました。
 今回の行動は、全線開通によって引き起こされるのは列車への放射性物質の付着に対して、車両の放射線量測定と作業での防護対策を求めたものです。


(出勤する労働者にビラを渡す組合員)

 朝7時半からは、車両センターの組合員総出でビラ配布を行ないました。出勤してきた労働者は、職場の仲間が差し出すビラを、言葉を交わしながら受け取ってくれました。

 
(前日の団交の報告や付着した放射能の高さを記したた朝ビラ)

 11時からは動労千葉の仲間たちも加わって、車両センターの労働者に、一緒に声をあげて命を守ろうと訴えました。木村委員長は、「放射能問題は何十年にもわたって続きます。何よりも命を守るための防護対策が必要です。いろんな立場があっても一緒に要求していきましょう」と訴えました。


(動労千葉の青年労働者も応援に駆けつけてアピール)

 12時になると午前中の仕事からあがった組合員たちが、車両センターの中から門前行動を見守りました。フェンスで仕切られてはいても、仲間を守ろうという同じ思いで関わりました。


(昼休み・敷地内から門前行動を見守る組合員)

 新型コロナウィルス対策も含めて、JRもグループ会社のMTSも、まともな防護対策をとっているとは思えません。こんな会社であるからこそ、現場労働者自らの声で労働者の安全を確保させなければならないと思います。労働者には安全に働く権利があり、会社は安全に働かせる義務があります。会社に言われたらそれで終わりではなく、「おかしいものはおかしい」の声を、職場の当たり前のことにしていけたらと思います。そういう声を、すべての職場に広げていきましょう。動労水戸はそのために、会社に何度でも要求を突きつけていきます。みんなで命を守らせましょう。

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プロフィール

HN:
動労水戸
性別:
非公開
職業:
鉄道労働者
自己紹介:
【国鉄水戸動力車労働組合】
1986年結成。JR東日本・JR貨物とその関連会社の労働者で組織する労働組合です。

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