頑張るほどに年収が下がる?

コロナ感染拡大の中で、労働者への解雇や賃下げが横行しています。これは仕方のないことなのでしょうか。社会がどんな状況になろうとも、労働者が生きていくことには変わりがありません。それを「社会が存続するため」として、いとも簡単にきりすてられていいはずはありません。 
(動労水戸第39回定期大会)

 そうした中でJR東日本では、期末手当の組合との交渉が始まっています。会社はマスコミなどへは、グループ会社を含めて1,500億円のコスト削減を明らかにしました。この中で株主に向けて、今年の人件費を304億円カットするとしています。夏期手当では110億円がカットされました。期末手当では、更なるコストカットが噂されています。

 労働者への人件費削減が問答無用で強行される一方で、株主配当は維持されるようです。本来配当というものは利益があったときに出すもので、赤字になったのであれば出さなくて当たり前ではないでしょうか。労働者へのコストカットや利用者へのサービスを切り捨てながら投資家への配当だけは確保するという、本末転倒のことが起きているように思います。
 さらにJR東日本の経営陣のコストカットは1割ほどだそうです。彼らにとっての1割は、おそらくは社員1人あたりの年収に匹敵すると思います。しかもこの経営陣は、JR発足以来年々増やされてきました。労働組合を潰す一方で自分たちだけは肥太る構図が、如実に表れていると思います。


 こうした手当については、これまでは組合との交渉で合意しなければ決まりませんでした。しかし、労働者の過半数を組合が占めなくなってからは、会社は好きなようにコストカットしています。

 JR東日本は一昨年、当時の安倍首相と「労組なき社会・会社」を目指すための相談をしています。そのもとで、「社友会」に労働者を囲い込み、労働組合が交渉において決定する権利を奪い去りました。それによっておきているのが、今日の事態ではないでしょうか。

 多くの労働者は、こうした状況の中では管理者に言われるままにやらなければ損をすると感じて、本来の仕事の他にもマイプロジェクトや◯◯推進委員会などを取り組んでいます。ところがこうした取り組みを頑張れば頑張るほどに、労働者の収入が下がっていく事態が起きてしまいます。

 会社の言う通りにやる方が得になると感じて頑張っていることは、実はこうした状況を作り出すためなのではないでしょうか。実際、期末手当の交渉でJR東日本本社は、「10年先の未来が現実になった」と語っています。これが意味することは、もともと「変革2027」でこうなるということではないでしょうか。今の事態でさえ深刻に思い悩む労働者がいますが、こんな未来を描いている会社の施策を後押ししてしまったら、労働者の未来は真っ暗闇です。


 私たちは動労水戸は、労働者の団結した力で未来が切り開ければと、小さいながらも仲間を信じ労働組合を信じて取り組んでいます。みなさんも職場の仲間を信じて、仲間と一緒に生きる未来を切り開いていきませんか?

本当にコロナ感染予防だろうか

 JR水戸支社は10月から、泊まり勤務者の宿泊場所でのベッドのシーツ交換を、宿泊者自身に行わせることを始めました。その理由は「コロナ感染予防と経費節減」と言われています。
 しかし、宿泊者自身がシーツ交換だけをすることが、どれだけコロナ感染予防になるのでしょうか?
 結局の目的は、とにかく経費をカットすることではないでしょうか。



 これまでのシーツ交換は、乗務員の宿泊場所では委託しているグループ会社の労働者が担当していました。これを宿泊者自身で行うことで感染予防をするということですが、科学的根拠はあるのでしょうか。
 シーツ自体はその日に宿泊する労働者だけが触れることになりますが、みんなが必ず触れることになるドアやハンガー、目覚ましとなる起床装置等は、なにも対策がされません。コロナ感染は、接触や飛沫によって感染すると言われます。今回の対策では、十分な感染予防になるとは思えません。


(JR東日本は「えきネット」で「おこし太郎」を一般販売している)

 一方でこのシーツ交換は、乗務員からすれば睡眠時間を削られる労働条件の改悪になっています。乗務員の行路によっては、睡眠時間が4時間に満たない場合もあります。こうした中でたかが5分程度であっても、乗務員の負担は大きくなります。起床後も片付けをしなければなりませんが、宿泊後の勤務では起床時間は、点呼の10分前が指定されています。実際には、ほとんどの乗務員がこれより前に起床していますが、これがさらに前倒しにされていると思います。
 乗客の生命を乗せて列車を運転する乗務員の労働に、このような負担をかけるのは安全を損なうことになるのではないでしょうか。



 さらに、このシーツ交換は労働時間にはならないため、、無償で行わせられています。
 これまでのシーツ交換は乗務員の宿泊場所の場合は、委託会社の労働者が清掃と合わせて行なっていました。つまりは、委託費を支払って用意してもらっていたのです。それを切り離して、無償でシーツ交換をさせるようにしたのです。委託会社の労働者は、これまで通りに宿泊場所の清掃を行っています。しかしシーツ交換を切り離したことでパート時間が少なくなり、賃金が減ってしまうそうです。
 結局は、有償の労働を無償にして経費をカットすることだけが、コロナ感染を理由としてやられたことではないでしょうか。
 労働条件を悪くして、乗客の生命を軽んじるやり方に、私たちは疑問と怒りを感じています。


少しでも被曝から守りたい

 先日、組合員から聞いた話です。その組合員は常磐線いわき以北を乗務する運転士から伝え聞いたそうです。
 今年3月に多くの反対の声を無視して運転再開した富岡ー浪江間では、場所によっては乗務員室で3マイクロシーベルト/hにもなるそうです。これは「切り取り」という乗務員室と同じような高さの土手の辺りで計測されているようです。
 会社は「敷地内は除染したから安全」として全線開通させましたが、列車は沿線の放射能を車内に取り込んで走っているという事です。


 さらに、9月10日には大野ー双葉間で、上り列車が猪と衝突して3時間も停車する事態が起きました。乗客は救済のタクシーが来るまで2時間も列車内で待たされたようです。
この辺りのJR敷地脇の放射線は6マイクロシーベルト/hくらいあり、乗務員はその中で車両の外に出て点検などを行わざるを得ませんでした。
 会社は全線開通にあたって安全は確保されているかのように言っていましたが、現実は乗客・乗務員を放射能にさらしているのは明らかです。
 
 動労水戸は全線開通が推し進められる中で、2011年10月以来「被曝労働」を最大の問題として闘ってきました。仕事によって被曝させられる事に反対することを通して、すべての労働者・住民を被曝させないために「常磐線全線開通反対」を訴えてきました。

 常磐線は全線開通されましたが、職場で被曝が問題になることはこれからです。
 勝田車両センターでは、この被曝対策として労働安全衛生委員会の中で声が上がり除染作業で使用する防護マスクが配布になりました。
 また動労水戸の団体交渉における「希望者への血液検査の実施」の確認により、放射線技師と同様の検査を行うことが確認されています。


 すぐには放射線被曝を防げるわけではないのですが、その職場で働く労働者として声を上げていくことが、命を守ることになるのではないかと思います。


車掌を無くしても安全は低下しない?

 動労水戸は8月31日、「中編成ワンマン運転拡大」に伴う車掌合理化反対の団体交渉を行いました。
 今回の交渉では、主要に「ワンマン運転拡大の目的」と「機械に置き換え可能な車掌業務」を追求しました。
 「ワンマン運転拡大の目的」について会社は「鉄道の移動ニーズが縮小し、このままでは会社の維持が困難。機械に置き換え、効率的な業務執行体制を作るため」と回答。そうすることによって生み出された人材を「人ならではの創造的な仕事へシフトしていく」と。具体的には何かと聞くと「JRグループとして作っていく」という漠然とした回答。



 結局は「人ならではの仕事へシフトする」は後付けの理由で、最大の目的は車掌の要員削減であることが明らかとなりました。
 また、車掌をなくすためには、これまで車掌が行なってきた役割や業務を別に置き換えることが必須ですが、とうていすべてを置き換えることは無理であることが明らかになりました。
 例えば、車掌の執務標準(規定)には「列車が停車駅に進入あるいは進出する場合は、ホーム上のお客様の状態に努めて注意する」と定められています。会社は置き換えができないことを認めつつ、「(規定は)車掌が乗務したときのもので、ワンマン運転にはあたらない」と開き直りました。


(何かあったらすぐ止められるかどうか、利用者の安全を守る車掌の重要な役割なのだが.....)

 車掌が乗務していれば、触車やドアはさまり、引きずられなどが起きた時に即座に停止させることができますが、それができなくなってしまうことは明らかに安全性の低下ではないかと追及すると、会社は「列車が動きだしてから止めることはできないが、ワンマン運転に関する省令をクリアしているから安全性が低下するとは認識していない」と回答。本当に鉄道会社の回答なのか耳を疑いました。

 会社はJR東日本グループの行動指針で、「究極の安全の追求」や「質の高いサービスの提供」を唱っています。しかし「ワンマン運転」は一層のコスト削減であり、行動指針とは真逆の行為です。乗務員を減らし、すべてを利用者任せにするものでしかありません。こんな理不尽な施策は絶対に無くして行きましょう。

いったい誰のための意見交換会か

 JR水戸支社では、来年3月の水戸線ワンマン運転導入に向けての動きが出ています。
 8月7日、水戸運輸区のマイプロジェクトメンバー数人が、郡山運輸区に「出張」扱いで、東北本線の黒磯ー新白河で中編成ワンマン運転を進めた「中編成ワンマン運転推進委員会」との意見交換会を行ったことが郡山運輸区で報じられました。
 また、水戸線のワンマン化の対象となる水戸運輸区・勝田運輸区では、8月17日から「中編成ワンマンの導入について」全乗務員対象の説明会が開始されています。
 こうした時期に、すでに導入されている東北本線の中編成ワンマンを担当する郡山運輸区との意見交換会を行う目的は、社員の中からワンマン化の理解を深め、ワンマン化を推進するためでしかありません。


(車掌がいるから通勤時間帯もスムーズに発車できる)

 ワンマン化するということは、車掌の仲間の仕事や職場を奪い、運転士にこれまで以上の労働強化をおしつけるものです。意見交換会に出席したメンバーは自分たちのしていることに自覚はあるのでしょうか?
 郡山運輸区の掲示物を見れば一目瞭然ですが、こうした「取り組み」は会社の意に沿った積極的なものとして「お手柄」となり、勤務評価がプラスとなるのでしょうか。そんなためにやったわけじゃない、と言い訳しても職場の仲間はどう見るでしょうか?
 ワンマンの説明会では「安全にできるという根拠を明らかにしろ」「黒磯ー新白河と水戸線では乗客の数がぜんぜん違う」「車掌がいなくなったら車内秩序はどうなるのか」など、当然にもワンマン運転に反対する意見が数多く出されています。


(車内秩序が維持できているのも車掌がいるから)

 社会の生産は労働者の協働で成り立っています。鉄道の運行も、すべての職種の労働者の協働によって安全に運行されています。そしてこの協働を担うすべての労働者には、それぞれの生活があります。列車の安全な運行は、すべての労働者が安心して働けることが大前提ではないでしょうか?

 もう一度、自分が担ってきた鉄道の仕事や、一緒に働いてきた仲間の存在をとらえ返し、仲間と共に生きていくために、ワンマン運転反対の声を上げていくことを訴えます。


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プロフィール

HN:
動労水戸
性別:
非公開
職業:
鉄道労働者
自己紹介:
【国鉄水戸動力車労働組合】
1986年結成。JR東日本・JR貨物とその関連会社の労働者で組織する労働組合です。

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