無題



 去る7月25日、国土交通省が設置した有識者検討会は「地方鉄道の再構築に関する提言」をまとめました。
この提言では、はじめから地域協議会を設けて、事業者と自治体が鉄道存続策やバス転換などを検討させようとしています。




 これに合わせてJR東日本は、地方路線の収支を公表しました。それによると、1キロあたりの1日平均乗客数が2千人未満の35路線66区間すべてが、赤字であるということです。


 すでにJR北海道やJR西日本でも、区間別収支を公表していますがこの現状は35年前の国鉄分割・民営化の是非が問われる大きなもんだいです。

 国鉄・分割民営化は、国鉄の赤字を理由として、職員の10万人の首を切る大合理化攻撃でした。そのために労働組合をやり玉にあげ、200人を越える労働者が自殺に追い込まれました。

 またこのときには、多くの地方路線が廃線になり、第三セクターに転換された路線も少なくありません。

 たしかに、国鉄を分割・民営化して発足したJRでは、技術革新や効率化などで生産性は飛躍的に向上しています。
 しかし、それをもってしても地方の路線を維持できない現実は、単に、時代の流れのせいにして良いのでしょうか。

 国は国で、法律で国鉄を分割・民営化しておいて、35年たった今「赤字の路線は鉄道会社と自治体で検討してどうするか結論出せ」とだけ命令するのははなはだ無責任だと思います。



 これまで地方創生だの都市機能の分散だのさんざん言ってきて、結局は金儲けになることばかりにしか目を向けない。これまでも言われてきたように鉄道の廃線化が高齢化社会と相まって過疎化にさらに拍車をかけることになることは明らかです。



 そうした政策のあり方がすべての根源となっているのに、それをほうかぶりして、破綻の責任を労働者と自治体に押しつけるとんでもない問題のすり替えだと思います。絶対に許すことはできません。

 また、8月31日、JR東日本はあらたに鉄道部門3万4千人のうち4千人の要員削減を考えていることが報じられました。かつて7万4千人で始まったJR東日本。どれだけ生産性を上げれば気が済むのでしょうか。



 私たちは、労働組合としてこれ以上仲間を奪われることは許せません。また、これ以上地方を切り捨てることは許せません。私たちはそのために、労働者の力を結集して立ち向かっていきたいと考えています。

「中編成ワンマン運転拡大について」提案される

 JR東日本は6月末に、「中編成ワンマン運転の拡大について」を提案し、動労水戸は7月1日に受けました。
 
 この提案は、「今後、更なる生産年齢人口の減少や・・・社会環境の急激な変化、技術革新の進展等に対応しながら、お客様が求める輸送サービスを提供していくため」というものです。具体的には、常磐線水戸−いわき間のE 531系5両編成の全列車を、2022年度末にワンマン運転にするというものです。私たち労働者からすれば、「お客様が求める輸送サービス」というなら、乗客が安心して利用できるようにすべての列車に車掌を乗務させるべきだと考えます。


 すでに多くの線区でワンマン運転が行われていますが、昨年3月に実施した水戸線の中編成ワンマン運転では、設備の不具合や急病人の対応、車内秩序の維持などで多くの問題が上がっています。
また水郡線では7月初旬に、通学列車の車内で高校生がいたずらを受けたようです。

 ホーム上や列車の中は、運転士だけではカバーしきれるものではありません。車掌が乗務することで列車内の秩序を維持したり、ホーム上で起きた問題などに対応できるだと言えます。なによりも乗客の不安に対処できることになると思います。

 今日の社会では、思いもよらぬことが多く発生します。こうしたことに即座に対応するためには、そうした場所に人を配置するべきではないでしょうか。



 「安全は輸送業務の最大の使命である」。これはJR東日本の綱領の第一です。
鉄道の安全を守る、乗客の生命を守るために、コスト削減のためのワンマン運転拡大ではなく、すべての列車に車掌を乗務させることを、動労水戸は求めていきます。

組合差別裁判・組合側証人尋問

 動労水戸は、6月3日、24日に組合差別裁判の、組合側証人尋問の取り組みがありました。5月の公判から三回にわたり、組合員と家族の11人が証言に立ちました。



 各証人の証言は、会社による組合敵視政策の中で、仲間と共に信念を貫いてきた思いと、差別によって受けた損害に対する怒りが語られました。

 JR東日本は会社発足以来労働組合を解体する攻撃を続けてきました。それは国鉄分割民営化攻撃を引き継いだものです。今日「変革2027」の核心も、労働組合解体にあります。

 こうしたJR東日本の攻撃に対て、動労水戸は労働者の未来をかけて闘ってきました。この闘いによって、小さな組合でも仲間との団結を守り抜くならば、労働者は明るく生きていけることを確信しています。



 週刊誌では副社長によるハラスメントが暴露されました。社内ではこれまで「コンプライアンス」などの社員教育が続けられてきましたが、経営陣にとっては社員は奴隷に過ぎず、今回の事象もハラスメントとは考えていないでしょう。それは動労水戸の運転士登用差別の労働委員会命令に対して、「会社は間違ったことをしていない」という態度と同じです。


 こうした会社に対して、職場の仲間との団結を取り戻していくことが、これからを生き抜いていく力になるのではないでしょうか。「柔軟な働き方」によって誰かの仕事を奪って生きるのではなく、一人一人の仕事を尊重し合いながら、社会的財産である鉄道を守り抜いていきましょう。

組合差別裁判の証人尋問が始まりました

 動労水戸の組合差別裁判が、5月13日から証人尋問に入りました。
 5月13日最初のの証人尋問には、石井前委員長が立ち、分割民営化以来続けられてきた組合差別の実態と、運転士登用労働委員会命令の会社による一方的履行の状況、こうしたことによる組合差別損害などが証言されました。



 JR東日本は会社発足以来、分割民営化に反対していた組合を徹底して差別してきました。
 運転士が足りなくなっても、資格を持っている動労水戸組合員を運転士にさせず、駅員や車掌から新たに運転士を養成したり、JR採用の運転士を養成してきました。



 また昇進試験においては、会社と労使協調していた組合とは比較にならないほど差別を受け、20年以上も不合格となった実態もあります。職場ではしっかりと業務を遂行しているのにです。この試験に合格した組合員でも、10回以上も受験してきたのが実態です。こうした組合員がほとんどであることで、この裁判で是正を求めています。

 石井前委員長の証言に対して被告である会社側代理人は、「命令履行のやり方は組合に説明したのでは」とか「昇進試験に向けて勉強会がありましたよね」などと、会社の実績を印象付けようとしました。
 
 この日の裁判では、午後からの原告組合員の証人尋問が予定されていましたが、裁判長の急病により次回に延期されました。次回の証人尋問は、6月3日の13時から再開されます。



 この組合差別裁判は、会社の勝手な評価によって一緒に働く労働者を分断することを止めようとするものです。労働者が支え合いながら力を合わせて働いていける職場にするために、動労水戸は奮闘していきます。



コストダウンでサービスカット

 JR東日本では「変革2027」の経営計画によって、人件費をはじめとした大幅なコストダウンが進めれれていますが、これにともない利用者へのサービスも大きくカットさえています。
 この事態にJR職場の労働者からは、公共交通としてとんでもないことだとかとの声が上がっています。


 これまでも水郡線などのローカル線では、切符が買えなかったりICカードが使えないなど、問題がありました。水戸線では、車内がゴミだらけになっているとの声も聞きます。
 またワンマン運転の拡大によって、交通弱者への対応も問題となっていました。

 そうした中で今年3月のダイヤ改正では、さらにサービスカットの問題がおきています。
 常磐線では、普通列車の多くが土浦駅で乗り換えになりまた。土浦駅からの下り列車が5両編成の場合には、グリーン車はありません。土浦から先までのグリーン券を持っているのに、グリーン車に乗れなくなった利用者が出てしまいました。


 また栃木県内の東北線では、通勤帯の列車が8両→6両、4両→3両に減らされたため、利用者が乗り切れないという事態も起こっているとのことです。

 さらに水郡線では、夜間の水戸駅発の下り列車が、客室の蛍光灯が消えている車両を営業運転に使うことも起きました。この車両の不具合は、発車の1時間以上前に分かっていました。それでも何の対応もされずに走らせているのです。


 こうした利用者のことを何も考えず、ひたすらコストダウン追求を進めているのが、今のJR東日本です。「変革2027」を進める中で、社員に対して「鉄道ありきで考えるな」と教育しています。仕事を鉄道ありきで考えないということは、利用者のことなど考えるなということではないでしょうか。

 JRは、国民の共有財産であった国鉄を継承した国策会社です。利用者のことを考えないでいいというのは、あまりにも傲慢な考えではないでしょうか。

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プロフィール

HN:
動労水戸
性別:
非公開
職業:
鉄道労働者
自己紹介:
【国鉄水戸動力車労働組合】
1986年結成。JR東日本・JR貨物とその関連会社の労働者で組織する労働組合です。

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