動労水戸情報625号

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自己保身で激突する会社とJR東労組

鉄道業務に誰が責任を取るのか


水平分業と対決する出向無効確認訴訟

2月21日、動労総連合の出向無効確認訴訟・第1回控訴審が東京高裁で行われた。

昨年10月10日東京地裁で出された第一審判決は、会社の主張を丸呑みした史上最悪の反動判決であり、①出向命令は、労働協約や本人同意がなくても、就業規則に出向規定があれば有効②出向期間3年とあるが10年でも不利益はない③偽装請負であっても「違法性の程度が社会通念上看過しえない重大なもの」でなければ良い、というものだった。到底認められるものではない。

さらに、会社は昨年6月、一審の結審直後に、今年4月1日以降にJR本体でエルダー社員を雇用するため、定年後再雇用制度の変更を行ってきた。

本件出向の目的は、エルダー社員の職場を確保するために業務を外注化して、その外注先の業務を担うことではなかったのか。JR本体でエルダー社員が働けるなら外注化も出向も必要なかったことになる。「出向の目的」をめぐる重大な理由の変更となる。

動労総連合弁護団は鋭くこの点を主張し、第一審判決にしがみついて控訴即棄却を狙っていた会社側のもくろみを粉砕し、次回の第2回口頭弁論が決定(5月11日)、控訴審の継続を断固として勝ち取った。

外注化(=水平分業)は、会社のこれからの攻撃の要をなす。それはJR本社以下30名の大傍聴動員で臨んできたことからも、いかに会社にとってアキレス腱となっているかを示している。
ダイ改で会社はどこに向かおうとしているのか
会社はどこに向かおうとしているのか?すべての業務の外注化―水平分業とローカル線を切り捨てて要員を合理化する、第3の分割・民営化ともいうべき体制を作ろうとしている。

昨年10月のダイ改で明らかなように、車掌の要員合理化・水郡線ワンマン運転拡大・入出区作業全面委託が行われようとした。会社は当面5万6千人の社員を4万人まで削減し、1キロ当たり1日2千人以下の23線区を廃止しようとしている。

そのために系統分離(新前橋、新白河、君津、木更津)という手法を使い、乗客が不便なように列車を設定し、乗車しないように仕向けている。

廃止対象の23線区には、水郡線・磐東線・磐西線・只見線などが入っている。3月ダイ改で水郡線・上菅谷~常陸太田間1往復廃止はその一環だ。

会社は、駅・構内検修・運転士・車掌も含めてすべての業務を外注化し、本社と支社だけをJR本体に残してホールディングス化しようとしているのだ。だから出向無効確認訴訟にだけは負けるわけにはいかないと、JR東労組からの大量脱退問題に忙殺される一方、各支社の勤労課と人事課が裁判傍聴に来ているのだ。


改憲と戦争をめぐり労働組合が焦点に
安倍政権は、「改憲」を目指している。30年前の国鉄分割・民営化は、国鉄労働運動を解体し、改憲をするために行われた。それは当時の中曽根総理大臣が明言していることだ。

改憲から戦争に進むためには、労働組合が戦争に全面協力する「産業報国会化」が絶対に必要だ。今まさに労働組合の解体か再生かが問題になっている。

JRで今起きている会社と東労組の対立は、改憲情勢と第3の分割・民営化を貫徹しようとする情勢の中で起きている。

東労組の掲げる「定額ベア」要求とスト配置は、組合員の要求ではなく、会社から切り捨てられることへの対抗措置としてストライキをもてあそび、組合員を引きずり回すものだ。

現場に目を向ければ、上野東京ラインの開通による労働強化・ワンマン運転・ライフサイクルなどによる慢性的要員不足、エルダー制度による解雇・遠距離配転や外注会社の劣悪な労働条件と事故多発、常磐線全線開通に向かっての被曝労働の強制など山ほどあるではないか。

分割・民営化以来30年間、会社施策を東労組が代行し、社員を強制出向させる外注化や運転士を駅に強制配転するライフサイクルなどを組合員に強制してきた。

しかし、これ以上の外注化―水平分業と要員大合理化・ローカル線切り捨てを推進することは、組合員の怒りが爆発し、東労組幹部にとって命取りになってくる。それをめぐった対立なのだ。

第3の分割民営化をめざす会社は、東労組解体を決断し本社・支社をはじめとして管理者の大量脱退を開始した。東労組にいることが出世の条件だったが、そうではなくなると、出世だけが目的の管理者は、即座に脱退しているということだ。

JRは鉄道会社だ。会社幹部も東労組幹部も自己保身だけで、全く責任を取らない。事故が起これば、即座に現場労働者の「個人的過誤」だとされる。闘う以外にないではないか。

動労水戸は、社会的責務と労働者全体の利益のために闘う組合だ。共に闘おう!

動労水戸情報624号



エルダー希望者「全員再雇用」は嘘


「会社提示条件か退職か」理不尽な二択突きつけるJR

動労水戸は12月4日、エルダー社員としての再雇用を希望しながら「退職」扱いにされた辻川慎一副委員長の速やかな再雇用を要求し、JR水戸支社との団体交渉を行った。

JR東日本は「65歳までの雇用を確保する」としながら、「(希望者は)会社から提示された条件で業務に従事することを前提に、エルダー社員制度による再雇用を申し込みます」として、「会社から提示された条件」を承認できない場合、希望者は自ら退職を選ぶ以外に選択肢はない。このような制度そのものに大きな問題があるのだ。一体どれだけの人が不本意な条件を我慢して飲んだのか?どれだけの人が再雇用を断念したのか? 

会社はごく一握りの特権的な社員の希望には添いつつも、大多数の社員に対しては、再雇用のための話し合いどころか調整すらも拒否している。これこそ「再雇用断念」を強制する首切りに他ならない。

そして、今進められているJR全面外注化は「自らの雇用確保のための出向・転籍」か「自主退職」かを必ず後輩たちに迫っていくことになる。誰かが何とかしてくれるのではない。自分たちが何をするかで全ては決まっていくのだ。
辻川副委員長の意思を会社は確かに確認している
エルダー再雇用対象者には、前年に大まかな希望の提出が求められ、その後の面談で再確認される。
 
①当時の勝田車両センターの対象組合員は4人。辻川副委員長は勤務地の希望を「水戸・勝田地区のみ」、職種は「検修、構内運転士、清掃」の順とした。
 
②今年2月になって、会社側は「MTS水戸事業所の検修ないし清掃」という条件を提示してきた。一見希望通りに見えるが、他の組合員3人はMTS勝田事業所(勝田車両センター内)が提示され、辻川副委員長にだけ水戸が提示された。会社にその理由を聞いても答えられないため、勝田への再提示を求めて2月末の書類提出を拒否した。
 
③3月に入り、支社人事課との再面談が行われた。会社側はそこでも理由を説明できないため、辻川副委員長は再雇用申込書の「会社から提示された条件で業務に従事することを条件に」の部分に抹線二条・押印した上で会社に提出した。この時点で会社は、辻川副委員長の再雇用の意思と勝田配属の希望について確認したのである。
 
④その後の団体交渉でも、会社は「勝田にも業務はあるが調整はしない」として「水戸でお願いしたい」を繰り返した。そのやりとりは、定年の日である9月30日の前日まで続いた。会社は、出向の事前通知すら出していない中、本人が定年の日までに妥協さえすれば「水戸で再雇用する」と言い続けたのである。これが事実経過だ。
雇用確保は会社側の義務
高齢者雇用安定法は、「会社が提示する条件が受け入れられなければ辞めろ」などという法律ではない。雇用の確保のために最大限努力する義務があるのは、労働者側でなく会社側だ。しかし、JRがやっていることは一度提示した内容は絶対に変えないということ、それが嫌なら辞めろということだ。だから、動労水戸は解雇だと主張している。
ところが会社は「再雇用の条件は提示したから解雇ではない」と言う。解雇ではないと言うならば、会社は辻川副委員長の再雇用の希望を確認し認めている以上は、定年の日を越えようとも再雇用に努めなければならないのである。定年の日を越えたら、再雇用の希望が無効になるなどという規定はない。

JRには「定年に達した者のうち、再雇用を希望する者をエルダー社員として採用する」という就業規則があるだけだ。たとえ定年の日を越えようとも、会社は辻川副委員長に再雇用を提示しなければならない。団交でのこのような追及に対して、会社側は沈黙で返す以外になかった。
全労働者の利益のために仲間と共に立ち上がろう
たった一人の組合員をめぐる闘いだが、動労水戸は全労働者の利益のために闘っている。これが一人ではなくみんなで拒否すればどうなるのだろうか?あきらめや、これまでの「常識」を排して、リアルに想像してみて欲しい。黙って何もしないがために、デタラメがデタラメとしてまかり通ってしまうのではないだろうか。あきらめず、投げ出すことなく、仲間と共に立ち上がろう。
 
この団体交渉の直後には、「JR本体におけるエルダー社員の業務範囲拡大」が提示された。車掌・運転士にまで再雇用が拡大されようとしている。わずかな手当増と引き替えに全てが奪われようとしている。共に闘おう!

動労水戸情報623号

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動労総連合出向無効確認訴訟 10/10判決

東京地裁 労働裁判史上最悪の判決


強制出向・外注化に裁判所のお墨付き
10月10日、動労総連合の3単組(千葉・水戸・高崎)とJR東日本が争っていた出向無効確認訴訟の一審判決が出された。これは、12・13年に強行された検修・構内業務外注化に伴い出された出向命令の無効を求めていたものだが、事実上JR東日本の外注化施策の是非をも問う裁判となり、その判決が注目されていた。

この日、東京地裁・民事第11部の裁判長・佐々木宗は、判決文の主文だけを読み上げると、自分で書いたはずの判決の中身も説明せずに、わずか2分で逃げるように退席した。裁判所内はこの極悪の判決にヤジと怒号に包まれた。
いま日本の大企業の4割が昨年より35%以上の利益を出している。その出所は人件費削減=外注化・非正規職化だ。部署や業務を丸ごと別会社化し、そこに業務のできる社員を出向させ、低賃金の非正規労働者(プロパー)に置き換える。これが大企業の金儲けのやり口だ。
JRは他企業に先駆けて業務外注化を進め、水平分業を進めると宣言している。これが裁判で否定されたら、あらゆる大企業が金儲けのやり口を否定されることになる。裁判所はそのことをよく理解している。だから、判決内容がどんなに矛盾しようが、このような判決を出してきたのだ。

しかし、矛盾がありデタラメである限り必ず粉砕できると私たちは確信している。動労総連合は断固として闘い抜く。


就業規則と出向規定で労働者を将棋の駒扱い
判決の極悪さの第一は、「出向命令には本人同意または労働協約が必要か」という問題について、裁判所は「会社は就業規則と出向規程に基づき出向を命ずることができる」としたことだ。出向も転籍も会社が全部決められるという、労働者を将棋の駒扱いする判決なのだ。
第二は、「今回の外注化・出向命令が権利の濫用(乱用)なのか」という点について、裁判所は「外注化の目的、その結果としての出向命令は経営者であるJRの合理的判断によるもので、何ら違法はなく業務上の必要性もある」と、会社側の主張をコピペ(丸写し)した内容だ。

人選についても、例えば鉄道業務を外され駅そば屋に16年も隔離されていた石井委員長が検修の技術指導目的で出向することについて、裁判所は「人選が最善であるとまでは言えないが、合理性・相当性がないとまでは言えない」とした。
あらゆる不利益も裁判所「我慢しろ」
また、休日が年間5日減る問題や出向が3年ではなく本人同意もなく延長されていることも「通常の異動に伴い甘受すべき程度を超えない」というのだ。

発令通知書には「期間は3年」と記されている。しかし、プロパーが養成されなければ会社は簡単に延長の発令を行ってきた。 外注化から5年経ち、既に25日間の休日が失われている。出向先には半休制度もない。2枚しか支給されない制服は色があせてしまい、白茶けた制服で作業させられている。駐車場も会社で用意せず、駐車料金は半額(最大5千円)しか負担しない。足が出た分は自腹だ。裁判所はこのような現実を突きつけられても「不利益も一方的な出向延長も我慢して受け入れろ」と言っているのだ。


「事故は労働者の責任」「もう訴える権利はない」
第三は、外注化により必然的に発生している偽造請負や事故の現実に対して、裁判所は会社の主張を鵜呑みにして「職業安定法や労働者派遣法に違反せず偽装請負にあたらない」とした。さらに「事故は各作業者の個人的過誤(ミス)によるもので、外注化・出向とは関係ない」とまで言い放った。勝田車セの脱線事故や京浜東北線川崎駅の脱線転覆事故など現場は外注化による事故が頻発している。このような体たらくの裁判所だ。労働者が命を落として訴訟になっても、同じことを言うに決まっている。

挙句の果てには「出向命令と外注化は密接な関係があるとしても、あくまで別々の法律行為」として「たとえ外注化が違法でもただちに出向命令が無効となるわけではない」という暴論まで繰り出したのだ。

さらには、裁判が終わるまでに出向解除や退職・エルダー出向となった原告20名の請求について、裁判所は「却下する」(訴える資格さえ認めない)とした。現在も出向継続となっている原告の請求は「棄却する」とした。完全にJRの意を受けて、裁判闘争の幕引きを強制しようとする卑劣な判決である。
判決文の全体が、まるでJRに一言一句書いてもらったかのような代物だ。絶対に認めることはできない。動労総連合と弁護団は、直ちに控訴して裁判闘争を継続することを決定した。闘いはこれからだ。


プロパーが出来れば出向社員は用済み
水戸支社は10月10日の反動判決直後から、動労水戸組合員3名のMTS出向を解除し、熟練業務からの引きはがしを強行してきた。

3人のうち、勝田車セの誘導係の組合員は30年のベテランだが、検修はほとんど経験がない。54歳となる彼が一から検修の業務を身に着けるのは容易なことではない。何よりも熟練を要する構内誘導職として経験と技術を生かすべきであり、本人もそれを望んでいた。

11月1日に開催された団体交渉でも、会社側は「業務上の必要性がある」と言いつつ何一つ合理的な理由は示せなかった。会社の言う「業務上の必要性」とはただ一つ「外注化」のことだったのだ。今回の判決で「出向解除すれば原告の請求は却下」と出されたので裁判を有利に進めるためだけに出向解除したのはミエミエだ 。30年間の経験も技術も踏みにじる会社を断じて許すことはできない。

外注化・強制出向攻撃と腹を据えて対決しよう。次は車掌・運転士に攻撃が来ることは明らかだ。労働者が鉄道の全てを動かしている。冨田社長は何もできない。そこに確信をもって闘おう!


動労水戸情報622号

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空前の労働強化 会社と職場が一変する10月ダイ改

今こそ闘う労働組合に結集しよう


今ダイ改の攻撃の本質

10月14日のダイヤ改定ではとんでもない労働強化・安全無視の行路が強行されようとしている。同時に、会社は10月21日に常磐線竜田―富岡開通を強行しようとしている。いずれも、私たちの生命と生活に直結する問題だ。他人事では全くない。
ダイ改・労働強化と被曝労働強制は一体の攻撃だ。会社は乗務員も含めたJR全面外注化を狙っている。そのために労働組合そのものを会社から一掃することを狙っているのだ。
 
衆院選を前にして、民進党は改憲と核武装を掲げる小池の「希望の党」と合流した。昨日まで労働者の味方面をしていた連中が、自分たちの生き残りのために平気で裏切り労働者・労働組合を売り渡している。

組織の規模や、会社との「信頼関係」を頼みの綱にしてきた労働組合にとって、労働者の存在は組合幹部の権力の「後ろ盾」に過ぎない。だから常に「上から目線」で、裏切る時も簡単なのだ。現場の労働者自身の力で、闘う労働組合を打ち立てることが求められている。
史上最悪の運転士行路

10月ダイヤ改正は、歴史を画する大攻撃としてかけられている。特急車掌の一人乗務・ワンマンの拡大・入出区作業の全面的な構内移管(による本線運転士の効率向上)など、これらの道理もない準備もない無茶苦茶な合理化攻撃は、現場の労働者の反撃の行動と怒りの決起によって、ひとまず押し返すことができた。

しかし、9月15日から提示された運転士の乗務行路は、これまでに例を見ない、とんでもない労働強化・安全無視の行路であり史上最悪と言っても過言ではない。東労組は水面下で会社と折衝し修正することを模索しているが、現場労働者の力を背景にした闘いなしに小手先のやり方では通用しないことは明らかだ。
安全な運転は極めて困難

例えば、土浦運輸区の運転士行路では、一度乗り出したら3時間乗りっぱなしのような仕事が大幅に増える。これまでタブーとされてきた土浦→上野即折り→土浦、上野→土浦即折り→上野、土浦→水戸即折り→上野、上野→品川回し→水戸・勝田、上野→品川回し→土浦即折り→上野など。品川出区→勝田という超ロングもある。土浦の行路数が日勤・泊行路合わせて29本のうち、13本もこうした長時間乗務があることになる。
 
運転士の乗務労働というのは、運転士の技術・経験と注意力のみを頼りに、各駅両数の違いもある停止位置に合わせて停車ブレーキを扱い、制限速度を守り、なおかつ定時運転につとめるものだ。踏切や設備の状況も一瞬で見きわめ異常を見つける。ときには車両や車内のトラブル、人身事故や荒天時の規制運転などいつ何時でもベストの力を発揮することが求められている。それに加え最近はスマホやビデオで始終「監視」され、運転席に座ったら片時も息を抜くこともできない。

だからこそ、乗務行路は「安全に集中して運転できるか」ということがすべての前提でなければならない。その観点から従来は3時間も乗りっぱなしとなる行路は極力避けるよう作成されてきた。今回のダイ改は、度を越えた会社の踏み込みだ。

さらに、行き先での乗務していない時間(休憩時間)がこれまでよりもさらに短くなっている。ろくな休憩もとれずに、長時間乗りっぱなしの乗務が当たり前になったらどうなるのか。会社は9月25日の団交で「規程(乗務割交番作成規程)内で作っているので安全でないとは思わない」と言い放った。運転士が毎日毎夜どんな思いで運転しているのかまったくわかっていない。こんなことを言わせておいていいのか!

また、ダイヤ改正に伴う教育・訓練もずさんだ。土浦では尾久→上野地平への列車を初めて担当するが、従来行ってきた「線見訓練」(ハンドル訓練)は行わず、その区間のビデオを見ただけでぶっつけ本番で乗務させるという(指導員は添乗)。訓練の軽視は安全の軽視だ。「時間がない」では済まされない。
自分と仲間の力を最大限に引き出せる組合に結集しよう

こうしたダイ改攻撃の背景には、安倍政権の「働き方改革」がある。この骨子は長い年月の中で労働者の血と汗で勝ち取ってきた労働法(労働基準法や雇用安定法など)の概念を打ち壊して生産性を上げるために、労働時間や残業の規制を撤廃するものだ。

それだけにとどまらず、労働条件は労組VS会社から個人と会社の個人契約の関係に落とし込めようとしている、さらに雇用関係さえない労働のあり方までもが検討されている。

安倍政権は、戦争を実際にやる国家にするために、労働者の権利を徹底的に奪いつくすことに本腰を入れている。

JRはその急先鋒として、これまでと明確に違うやり方でこのダイ改攻撃もしかけてきているのではないか。突然特急車掌の1人乗務をやろうとしたり(実は品川増発分の車掌の要員が足りなかったから!)、組合との交渉の経緯をまったく無視したり、明らかに会社の態度は一変している。職場の誰もが実感しているように、会社と我々労働者の関係は非和解の関係に入ったということだ。
「必要な効率化は認め、会社のパートナーとして」などという「組合」に自分たちの将来をゆだねられるのか。大切なことは、労働者は団結すること、団結した力こそがすべてを決することに確信を持ち、信頼できる労働組合に結集して闘うことではないか。ストライキで闘える動労総連合・動労水戸に結集しよう。


動労水戸情報621号

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車掌1人乗務・ワンマン拡大 白紙撤回せよ!


水戸支社は7月下旬、本年10月14日実施予定のダイヤ改正についてプレス発表を行い、関係各労組にその施策の概要を説明した。常磐線特急・中距離電車の上野東京ラインへの直通運転の大幅増を目玉に、特急列車の一部改廃と停車駅変更、水郡線の列車削減と夜間へのシフト、ワンマン化の拡大などを主な内容としている。

しかし問題は、私たち労働者にとって今後の業務のあり方を大きく左右する変更点が含まれていることである。しかも実施期日が10月で7月末に初めて明らかにされた突然の内容に、議論する時間も検証する時間もない、まさに「だまし討ち」的に強行されようとしている。絶対に許せない。
①特急車掌の1人乗務
会社は、「新たな着席サービス」の導入から2年が経過し乗客に浸透が図られたことを理由に、特急ひたち・ときわの全列車・全区間を車掌1人乗務とするとしているが、これは歴史的な大合理化攻撃であり絶対に認めることはできない。

これまで特急の車掌は、ドアの開閉、信号の確認、列車防護、放送、輸送指令とのやり取り、着席システムの送受信などを主な業務とする運転担当車掌と、検札や車内巡回、その他の乗客への案内・サービスを担当する客扱い担当車掌の最低2名体制とされてきた。

これらすべてを1人の車掌が行うことは到底できない。しかし、どれひとつとしてやらないわけにはいかない業務である。日々、車掌の仲間がどんな思いをして列車の安全・確実な運行と乗客のサービスに気を払っているか、会社は全くわかっていない!
会社が言うように「着席サービス」が浸透したからといって、車掌が車内巡回をしないわけにはいかない。かといって、車内巡回中に緊急の事態が発生したときは対応困難となり、列車や乗客の安全も脅かされる。事あるたびに列車の遅延も頻発することは必至であり、サービスの低下、運転士への負担増などその影響は計り知れない。絶対反対で闘おう。
②区所別乗務区間変更
15年上野東京ライン開業時から、輸送障害時にスムーズに乗務員操配するためとして区所別の乗務区間が大きく偏ったものにされてきた。

10月ダイ改からはさらに深度化し、ついに水戸運輸区の運転士は常磐線友部駅以南は全面的に撤退、水戸運輸区の車掌は友部駅以南の乗務はもとより、定期の特急の乗務が皆無となる。土浦の車掌も定期の特急の乗務は土浦~上野間のみになるとしている。 

こうした乗務区間の見直しが本当に「効率的」なのかはなはだ疑問である。技術保持の観点から一度乗務しなくなった線区を再度復活させることは相当な困難が生じる。特に、水戸運輸区運転士の持つ常磐線のノウハウをドブに捨てるような行為は到底理解できない。

また、これにより生じる各運輸区の労働条件の差がますます拡大することは目に見えている。さらに運転士のライフサイクル(駅配転)の行き先の位置づけもますます不明確となる。

この「区所の役割の明確化」の狙いは、実は乗務員労働者の分断にある。区所ごとの問題を個別化することで乗務員労働者全体の団結を破壊し労働強化することこそが目的なのだ。安全に安心して働ける環境をつくる、区所別乗務区間の変更に反対しよう。
③水郡線ワンマン化拡大
10月ダイ改では、常陸大子~郡山間で新たに2往復4本の列車と、常陸大宮~水戸間の列車1本を減車したうえでワンマン化するとしている。さらに、土休日はこれらに加えて常陸大子~郡山間で3本の列車をワンマン化するという。会社はこれを「ダウンサイジング」の一環として位置づけ、収益の悪い線区・列車には徹底したコスト削減を行う考えだ。

しかし、その一方で原発事故で不通になっていた区間の復旧は採算度外視もはなはだしい。一部の金持ちにしか利用できないような特別列車に何十億も注ぎこむ金があるなら、水郡線のような地方ローカル線こそ安心して利用できるようにすべきではないか。運転士のワンマン運転による労働強化は、車掌乗務の際とは比べものにならない。 列車の安全運行の妨げにしかならないワンマン運転は、拡大など論外、直ちに全面的に止めるべきだ。ワンマン運転拡大は絶対に認められない。
「避難解除」=安全なのか 常磐線竜田~富岡再開
こうした今後を左右するような重要な「改悪」事案を含んだ10月ダイ改だが、9月に入っても具体的な乗務員行路も提示されず検討する時間さえないに等しい。さらに、ダイ改から1週間後の10月21日には原発事故で不通となっていた竜田~富岡間の運転を再開するとプレス発表されている。



過日行われた富岡開通関係の団体交渉では、除染したとはいえ少なからず存在する放射線量に対して乗務員の線量管理や放射線からの防護策はどうするのか追及すると、会社は「避難解除となっている区間を走るので問題ない」と何の策も講じないことを明らかにした。

車両メンテナンスにおいても新幹線車両のフィルターに高度の放射線量が検出されている。高線量区間を走行することで床下機器に付着するホコリの放射性物質の分析と量を調査するよう求めたが、これも「避難解除となっているので」と調査さえしないと回答した。
皆さん。ダイヤ改正にしろ、富岡開通にしろ、こんなことで私たちの命や列車の安全は本当に守られるのか?今回、車掌の仲間が現場で1か月間にも及ぶ検証活動を行い、改めて特急車掌の1人乗務は無理だという結果を出したことの意義はとても大きい。

これまで、ダイ改のたびに発生する労働強化、ワンマン化、外注化、ライフサイクルなど、現場労働者の反対の声を無視して強行された事案はすべて東労組が「必要な効率化には協力する」として合意してきた結果だ。今回もまた会社の言う「効率化」の名のもとに為すすべもなく認めてしまうのか。誰もが注目している。

労働組合は労働者のものだ。組織温存や一部労組幹部の自己保身のためにあるわけではない。10月ダイ改に伴う特急車掌1人乗務、ワンマンの拡大、乗り入れ線区問題などは、組合員の命や生活を将来にわたって決する絶対に譲れない問題だ。理不尽な会社の攻撃には今こそ絶対反対で闘おう。動労水戸はストライキで闘う。職場のすべての仲間は動労水戸と共に闘おう。

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動労水戸
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鉄道労働者
自己紹介:
【国鉄水戸動力車労働組合】
1986年結成。JR東日本・JR貨物とその関連会社の労働者で組織する労働組合です。

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