エルダー希望者「全員再雇用」は嘘「会社提示条件か退職か」理不尽な二択突きつけるJR動労水戸は12月4日、エルダー社員としての再雇用を希望しながら「退職」扱いにされた辻川慎一副委員長の速やかな再雇用を要求し、JR水戸支社との団体交渉を行った。
JR東日本は「65歳までの雇用を確保する」としながら、「(希望者は)会社から提示された条件で業務に従事することを前提に、エルダー社員制度による再雇用を申し込みます」として、「会社から提示された条件」を承認できない場合、希望者は自ら退職を選ぶ以外に選択肢はない。このような制度そのものに大きな問題があるのだ。一体どれだけの人が不本意な条件を我慢して飲んだのか?どれだけの人が再雇用を断念したのか?
会社はごく一握りの特権的な社員の希望には添いつつも、大多数の社員に対しては、再雇用のための話し合いどころか調整すらも拒否している。これこそ「再雇用断念」を強制する首切りに他ならない。
そして、今進められているJR全面外注化は「自らの雇用確保のための出向・転籍」か「自主退職」かを必ず後輩たちに迫っていくことになる。誰かが何とかしてくれるのではない。自分たちが何をするかで全ては決まっていくのだ。
辻川副委員長の意思を会社は確かに確認している
エルダー再雇用対象者には、前年に大まかな希望の提出が求められ、その後の面談で再確認される。
①当時の勝田車両センターの対象組合員は4人。辻川副委員長は勤務地の希望を「水戸・勝田地区のみ」、職種は「検修、構内運転士、清掃」の順とした。
②今年2月になって、会社側は「MTS水戸事業所の検修ないし清掃」という条件を提示してきた。一見希望通りに見えるが、他の組合員3人はMTS勝田事業所(勝田車両センター内)が提示され、辻川副委員長にだけ水戸が提示された。会社にその理由を聞いても答えられないため、勝田への再提示を求めて2月末の書類提出を拒否した。
③3月に入り、支社人事課との再面談が行われた。会社側はそこでも理由を説明できないため、辻川副委員長は再雇用申込書の「会社から提示された条件で業務に従事することを条件に」の部分に抹線二条・押印した上で会社に提出した。この時点で会社は、辻川副委員長の再雇用の意思と勝田配属の希望について確認したのである。
④その後の団体交渉でも、会社は「勝田にも業務はあるが調整はしない」として「水戸でお願いしたい」を繰り返した。そのやりとりは、定年の日である9月30日の前日まで続いた。会社は、出向の事前通知すら出していない中、本人が定年の日までに妥協さえすれば「水戸で再雇用する」と言い続けたのである。これが事実経過だ。
雇用確保は会社側の義務
高齢者雇用安定法は、「会社が提示する条件が受け入れられなければ辞めろ」などという法律ではない。雇用の確保のために最大限努力する義務があるのは、労働者側でなく会社側だ。しかし、JRがやっていることは一度提示した内容は絶対に変えないということ、それが嫌なら辞めろということだ。だから、動労水戸は解雇だと主張している。
ところが会社は「再雇用の条件は提示したから解雇ではない」と言う。解雇ではないと言うならば、会社は辻川副委員長の再雇用の希望を確認し認めている以上は、定年の日を越えようとも再雇用に努めなければならないのである。定年の日を越えたら、再雇用の希望が無効になるなどという規定はない。
JRには「定年に達した者のうち、再雇用を希望する者をエルダー社員として採用する」という就業規則があるだけだ。たとえ定年の日を越えようとも、会社は辻川副委員長に再雇用を提示しなければならない。団交でのこのような追及に対して、会社側は沈黙で返す以外になかった。
全労働者の利益のために仲間と共に立ち上がろう
たった一人の組合員をめぐる闘いだが、動労水戸は全労働者の利益のために闘っている。これが一人ではなくみんなで拒否すればどうなるのだろうか?あきらめや、これまでの「常識」を排して、リアルに想像してみて欲しい。黙って何もしないがために、デタラメがデタラメとしてまかり通ってしまうのではないだろうか。あきらめず、投げ出すことなく、仲間と共に立ち上がろう。
この団体交渉の直後には、「JR本体におけるエルダー社員の業務範囲拡大」が提示された。車掌・運転士にまで再雇用が拡大されようとしている。わずかな手当増と引き替えに全てが奪われようとしている。共に闘おう!