ダウンロード 出向無効確認訴訟 全3回の証人尋問を闘い抜く民営化・外注化は究極の社会破壊「コスト削減」=全業務をプロパーに丸投げ 1月13日の出向無効確認訴訟・第3回証人尋問では、動労総連合・田中康宏委員長とJR東日本本社・池田裕彦車両運輸部次長が証人に立った。
田中委員長は証言の中で、鉄道業務はそもそもJR本体の指示がなければ動かないという事実を説明しながら、委託会社が独自に業務を行うことはありえないと断じた上で「JRの丸写しの作業要領を使い、JRの設備である信号に従い、JRが詳細に定めた運転・検査方法に従って業務を行う。社員の健康診断までJRの基準だ。これが偽装請負ではなくて何なのか」と訴えた。
本社・池田証人は、外注化による「コスト削減」について、具体的な削減目標は「わからない」と回答。「労働密度の向上」については、委託会社のプロパー労働者に、清掃・運転・仕業検査・誘導の全てをやらせることによって、空き時間をなくしコストを削減すると回答。入社から定年まで働いても月20万円にも満たない低賃金のプロパーに鉄道業務の全責任を押しつけると会社は宣言したのだ。傍聴者からは激しい怒りの声が飛んだ。
動労総連合弁護団は池田証人をさらに追及した。
JRは赤字なのか?
池田「違う」
外注化する必要があるのか?
池田「グループ会社の一体的 発展を考えて…」
出向は原則3年としているが、JRに戻す計画は発令の時点であったのか?
池田「戻っている人はいます」
なぜ平成採は返して、国鉄採は返さないのか?
池田「平成採には将来いろいろな道がある」
発令の時点でJRに返す計画があったかどうかだけ答えてください
池田「なかった」
裁判長からの「なぜ外注化したか答えてください」「エルダーを自社で雇えるのではないですか?」との質問にも、池田証人は答えられない。「外注化の目的」について本社代表が答えに窮するという異常事態だ。
労働局が3支社に指導票 JRの偽装請負を指摘
裁判では、組合側の要求した文書提出命令によって、千葉・水戸・高崎3支社に対して、労働局(労働基準監督署を管轄する厚労省の地方機関)からの「指導票」の内容が明らかになった。指導票とは、労働法制に違反しそうな企業に労働局が出す、いわば「イエローカード」だ。
労働局は、運輸長→運転区長→運転士という鉄道の厳格な責任体制を前提に、今回の外注化で「請負事業者(=鉄道サービス)の労働者が、実質的にJR東日本の管理監督の下で業務を遂行しなければならない場合は、労働者派遣事業に該当します」と指摘している。
そして「JR→鉄道サービスへの出向は労働者派遣になっているのでは?鉄道業務への派遣労働は鉄道事業法違反となる。違うというならちゃんと説明しなさい」としている。
しかし会社は「労働局がそれ以上何も言ってこないからクリアした」などと無視を決め込んでいる。行政機関からの指摘すらないがしろにするJR東日本は「ブラック企業」そのものだ。
今回の証人尋問でも、組合側弁護士の「鉄道事業法では、乗務員の資質管理はJRで行い、運転管理者は、例えば車両センターではセンター所長であることは知っていましたか?」の質問に対し、池田証人は「はい」と答えた。構内運転業務が外注化された職場であっても、運転管理者は鉄道サービス事業所の所長ではなくJR本体の管理者だということをJR本社が認めたということだ。
業務が外注化されプロパーが仕事をしていても、管理はJRが行う…これは明確な偽装請負だ。職場と裁判の闘いが法律違反を暴き、JR本社を決定的に追い詰めている。
動労総連合に結集しよう!転籍攻撃と闘おう!
今年からJR本体→子会社への転籍攻撃がポテンシャル採用を皮切りに本格的に始まる。平成採に会社は「JRに残りたいならば、周りを蹴落として上を目指すか、それができなければ子会社へ転籍になるか」の究極の二択を突きつける。強制出向の次は強制転籍だというのだ。
労働者が生き残る道は、仲間と団結して闘うことだ。これからの社会を担う青年の決起が外注化・転籍攻撃を止める力になる。
全ての労働者、とりわけ青年労働者は動労水戸・動労総連合に結集し共に闘おう!