常磐線全線開通の交渉を2回に分けて掲載したいと思います。
常磐線冨岡-浪江間の運転再開準備交渉(その1)
動労水戸は9月6日、「常磐線冨岡-浪江間の運転再開準備」の水戸支社交渉を開催しました。今回は、2019年度末の運転再開の目的や安全の根拠、体内被曝対策、避難計画や訓練計画の解明を行いました。
運転再開の目的について水戸支社は、地元自治体からの要望があるからと回答しました。
組合からの「避難指示解除は2022年頃と言われており、人が住めるようになってからではダメなのか」との質問に、「会社の行動指針に、地域の発展に寄与しましょうというのがある」と回答しましたが、社会生活ができないところで「地域の発展に寄与」があるのでしょうか。また「地元の要望」は、本当に被災者や利用者の思いなんでしょうか。
結局水戸支社は、「全線開通が目的の一つ」と回答しました。安部政権による「2020年東京オリンピック」に合わせた全線開通と言わざるをえません。
さらに全線開通するための安全の根拠では、水戸支社は鉄道敷地内の空間線量が20mSv/yの枠内だから安全としています。
ところが水戸支社が提示した冨岡-浪江間の敷地内空間線量では、2019年6月時点で2μSv/h以上の区間が2㎞に及ぶところもあります。
2μSv/h以上というのは大変な線量です。福島以外の所でこんな場所があったら、「ホットスポット」として大騒ぎになるのではないでしょうか。しかも鉄道敷地の外は50msv/y以上の帰還困難区域です。そうした所に列車を走らせることは安全なのでしょうか。
それでも水戸支社は、個人の線量を管理すれば安全であり、会社としてやれることはやっていると回答しました。とんでもない開き直りです。
全線開通の安全とは、被曝しないということではないでしょうか。線量を管理すれば安全というのは、労働者を20mSv/yまで被曝させてかまわないということではないでしょうか。国際基準は、1msv/y以下と定められています。
しかも水戸支社は線量を管理する対象者について、作業箇所や作業頻度等が決まっていないため、管理する対象者も決まっていないと回答しています。
列車が走るのは安全としながら、なにも決まっていない。全線開通させることだけが目的で、労働者の安全を切り捨てていることが明らかになりました。
動労水戸は、こんな全線開通には反対をしていきます。