ダウンロード 安全と人生を破壊するジョブローテーション反対JR東日本は3月末、採用から運転士までのライフサイクルを見直す「変革2027に基づくジョブローテーションの実施」を打ち出しました。
その内容は「多様な経験を積むことによって安全・サービスを向上させることを目的とし、駅、車掌、運転士の順に養成を行う体系を見直し、柔軟な運用とする」というものです。
具体的には、
①車掌試験・運転士試験の廃止②車掌を経ずに運転士になることが可能③車掌及び運転士の職名を「乗務係」「乗務指導係」「乗務主任」「乗務主務」に統一する④駅配属中途採用社員の、乗務員への異動を可能とする⑤同一担務の従事期間が最長でも概ね10年を超えないよう異動又は担務変更するというものです。これに合わせて、現在の「ライフサイクルの深度化」の見直しと賃金制度の改定を行うとしています。
会社は、ジョブローテーションで目指す社員像は「新たな輸送サービスの価値の創造」に貢献できる社員であるとし、この施策を「さらなる生産性の向上」を目指すために実施する、としています。
「新たな輸送サービス」とは鉄道事業の全面外注化であり、利益を生み出す「さらなる生産性の向上」のために働けということです。そのためにさらなる合理化・労働強化、賃下げ、競争と絶対服従を強いるものです。絶対に許してはなりません。
労働者の団結を根本から解体する攻撃
これまでJR東日本は、鉄道事業を駅・保線・電力・構内などの業務ごとに細切れに外注化・分社化してきました。グループ会社では労働者の団結が解体され、無労組・無権利の低賃金労働者への置き換えが進んでいます。
その結果、幾多の事故が起こり、労働者の命が奪われてきました。今回のジョブローテーションは、乗務員の「働き方」を解体し、最後的に鉄道事業すべてをグループ会社化する「全面外注化」攻撃です。その核心は「価値の創造」=「利益重視」にあります。
そのためにJR東日本は、昨年来の労働組合解体攻撃を全面化させ「会社施策を推進する」社友会への囲い込みを進めました。会社の言うとおりにしていれば評価を得られるかのようにあおり、マイプロジェクトなどの「仕事や価値をつくり出す」競争に駆り立ててきました。
こうした中、一層の労働強化として3月ダイ改が強行され、乗務員が疲れ切った中でオーバーランなどの事故が多発しています。さらにこの競争の中で青年労働者が死に追いやられています。競争しなければ生きていけないかのような職場の現状が引き起こしている事態です。
社会は労働者の協働によって成り立っています。鉄道業務もすべての職種が信頼しあい、連携することで、安全に列車が走ることができます。これを根底から支えているのが、労働者の団結なのです。JR東日本は、安倍政権の「働き方改革」の最先頭で労働者の団結を解体し未来を奪おうとしているのです。
低賃金攻撃としてのジョブローテーション
ジョブローテーションによって、運転士になっても賃金が上がらないという賃金制度が強制されます。従来は運転士試験が昇進試験的な意味合いを持っていたので、係職だった車掌は運転士になると指導職となりました。しかし、施策後は一般的な異動と同じように「任用の基準」で運転士=「乗務係」とさせられるので「係職」のままです。昇進試験に合格しなければ一生「係職」となりかねません。
さらに、乗務員手当の削減や廃止が目論まれています。駅→車掌→運転士を「任用の基準」により紙ぺら一枚で「異動」させるという労働の軽視は、乗務員勤務の特殊性の否定に他なりません。昨年の乗務員制度改正で手当の見直しがされたばかりですが予断を許しません。
しかしながら、現在係争中の動労水戸昇進差別裁判では、会社による勤務評価や昇進試験の実態が非常に不透明で、会社側はそれが正当・公正であるという根拠を何ら示せない状況にあります。
また、2008年に最高裁で決着がついた動労水戸運転士登用差別裁判では、「任用の基準」によって動労水戸組合員を運転士に発令しないことが不当労働行為であると認定され、組合側が全面勝訴しています。
ジョブローテーションの異動や担務変更は、「任用の基準」で行うとしていますが、こんなあいまいな「任用の基準」によって私たちの生活や人生が左右されていいはずがありません。
団結崩されなければ展望は開ける
「変革2027」は、鉄道業務のあり方をすべてぶち壊す「第三の分割民営化」攻撃です。その核心は、「全面外注化」と「労働組合解体」です。
世界中で外注化・民営化攻撃が吹き荒れています。すべては低賃金と非正規の労働者に置き換える攻撃です。グループ会社の労働者の現状を見てください。みんなこのJR東日本で働く労働者です。こうした現状を生み出してきたのは、1987年の国鉄分割民営化でした。それ以降、日本の労働運動は叩き潰されてきました。
この民営化攻撃に唯一立ち向かってきたのが、動労千葉労働運動です。現場労働者の団結を信頼し「団結さえ崩されなければ展望は開ける」として、JR東日本の組合差別、外注化攻撃と闘い抜いてきました。私たち動労水戸も、動労千葉と一体となって、JR東日本の組合解体攻撃と闘い抜いてきました。
職場で誰一人ジョブローテーションを絶対に許さないという団結を作ることが出来れば、展望が開けます。個人主義に陥れば、分割・民営化の時にようにバラバラにされ、攻撃が貫徹されます。
社会を動かしているのは、まぎれもなく現場労働者です。鉄道を動かしているのは職場の皆さんです。会社の利益のために労働者を虫けらのように扱い、会社の利益のために地方を切り捨てるJR東日本に対して、現場から一つに団結して立ち向かっていきましょう。